「ここが立海かぁ…」


校門をくぐり広い敷地内をキョロキョロと見渡す私は他人から見れば、間違いなく不審者だ。そんな不審者もどきな私は今日付けでこの立海大附属中学校に転校してきた。転校する前は、鳥取という田舎に住んでいたため親の転勤で神奈川に来た私には都会過ぎてちょっと戸惑いぎみ。

そんな不安だらけになりながらも無駄に広い校舎に入り、事前に渡されていた学校の地図を片手に職員室へ向かった。


「……………。」


こ こ は ど こ だ


数分後、見事に迷ったわたし。うん…こんなことだろうと思ったよちくしょーめ。


「…大体この地図合ってるの?」


何も罪もない地図に当たる私は最悪だ。あーごっつい気分悪いわぁ…あ、しまった方言出してしまった。だらずか私は…。なんて一人で悶々としながら歩いていると、前から幸運にもここの生徒がこっちに向かっている。チャンス!


「あの!」

「ん…?」

「すみません、職員室の場所聞きたいんですけど…。」

「お前さん、転校生か?」

「あ、はい一応。」


前から歩いてきた人は何だか不思議な方言を使ってる人で、しかも髪は銀髪でどことなく不良っぽい人だった。私は内心ビクビクしながらもその人に思いきって職員室の場所を聞いてみた。


「ここからは遠いからのぅ…俺が連れてっちゃる。」

「本当ですか?ありがとうございます!」

「ん。お前さん名前は?」

「あ、私は名字名前です。君は?」

「仁王雅治、三年じゃ」

「あ、同い年なんだ。」


銀髪不良さん、もとい仁王くんは見た目と反してかなり話しやすい人で、私は内心ホッとしながら職員室へ向かった。


「お前さん、地図もっちょるくせに迷ったんか?」

「う…だってここ無駄に広くて…」

「ま、確かにの。」

「だへん!?私も学校に入ってからごっつい驚いちゃって…もう本当困ったわぁ」

「…だへん?ごっつい?」

「あ」


やってしまった。

と思った時には既に遅し。転校初日から赤っ恥をかいた私でした。

本当私ってだらずだわ…


***

だらず…馬鹿

ごっつい…すごい

だへん…だよね、そうだよね(用途は沢山ありますが、ここでの意味は上記の通りです。)
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