表情雨

はらはらと花が散るような。
ぱらぱらと何かが落ちる音がした、気がした。

何故か座り込んでしまった私。
それを支えるでもないのが彼らしいといえばなにかが終わった気がする。

崩れる。
君がそれを言うから。


私に合わせるようにしゃがみこんだ目の前の人物の顔を私は拝めない。
なんていたって私の視界は今正常に働いてなど居ないから。

唯でさえ曇った視界にはくすんだ黒しか見えないもので。
それほどにその温もりとの距離はなかった。



何もが知らぬようで何処か使い古したものに似通った世界で本物など有ったのかと他人事にしていた。

それは唐突の様でじわじわと染み込むように私を嬲っている様にも今更に思えた。


わたしは、しない。

切に。
幼い頃その最後を目の前で眺めていたから。そんなものに落ちるなら何故最後まで落ちきれなかったのか。
この世界に私の決別の証はない。

故に無常にもそれは壊された。


表現などどうでもいい。
何でだっていい。どうとでもなる。

ダムの崩壊。壁の崩落。落ちた橋。
どれも比喩であって本当は1つもないのだから。



そう本物など証明できない。
永遠に継続など出来ないのならば。

だから、恋なんてしない。
否。恋はおちるもの。するしないでは適切な表現ではない。

では君にはこう伝えよう。
私は

「愛なんてしない。」

だ。


「でも大切なんだ。」

さも簡単にいう。
人の愛とは実に安いと思う。友愛がいい例だ。


でもただもがく私は居なくなった。

君に懐柔された。
と君にいったところ帰ってきたのは苦笑いの乾いた笑い声。

「酷いな…」

知らない。だから私は拗ねたように黙りこんだ。彼の服を控え目に握り締めて動かない。

私は拗ねているのだから彼の名前は呼ばない。

「…うん。それでいいから。近くに居てほしい。」



崩れた隙間から視えたものがあった。

私も彼も不器用だ。

肺を空っぽにでもするがごとく吐き出した。

「よろこんで。」


…。

…。


今日はここまで。
その後かい?


仕方ない君だけ特別に先を教えてあげよう。


笑ったんだ。
シロエは。








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