睡眠欲を貴方と共に

アパートのベッドのない一室。のソファに体育座りして様子を眺めること数時間。

いくら視ていても飽きがくることのないその生物と共に眠るいくら視ていても以下同文の生物。

それは究極だ。

少なくとも私にとっては正義にも勝る魅惑の光景。

「一緒に寝てる……可愛い。」

名前は休日を謳歌するために黒崎宅に足を運んだ。その時には既に黒崎氏は寝こけており玄関先には猫ズが溜まっていたのだ。いや貯まっていたのだ。

これでも彼女の端くれである名前はいっちょまえに合鍵で部屋に入る際猫も共に招き入れた。するとみるみる入って行く猫たちは一目散に黒崎氏の周りを囲む。

それでも夜中の収録明けの黒崎氏は起きることはなく、猫たちも人肌がいい感じに温かったのか一緒になって寝始めたではないか。

猫至上主義者としては嬉しすぎる。粗方写真に納め堪能した名前はじっくりと己の彼氏様が目覚めるのをひたすら眺めていた。というのがなう。

「……っう、ぁあ?名前か…来てたのか…。」
「うん。久しぶり。…あ、あんまり動かないであげて?」

ようやく目覚めた黒崎氏は起き上がろうとしたので「猫が起きちゃう。」と言ったが、「ああ?知るかんなもん…。」と眠そうに言われた。

挙げ句、ソファから足を引き摺り下ろされ膝に黒崎氏のふわっとしたネコ毛よろしくの頭を擦り寄せられる。

「いい匂い…すんな…。」
「ああ。お昼にパスタ作った時の香りが残ってたのかも。…まだ眠そうだね。」
「……」

質問の返事はなく、最後に小さく「起きたら…飯、食いに行くぞ」と溢して眠りについたようだ。

猫も起きたがまた黒崎氏の暖かみに擦り寄って眠りについた。


身動きの取れない名前も先人に習って眠りについた。


赴くままに。








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