夢下限恋愛 | ナノ



『承認欲求』


※if 伏黒くんにも呪力を調整してもらう関係だった世界線のお話


 私の呪力を調整するのは、基本的に五条先生。
 私の身体の中の呪いは悪質で、特級レベルの呪術師でないと処理できないから。
 でもその『特級』はあくまで目安の話。
 私の呪力の濃度とか、相手の呪いに対する耐性がどれほどあるかで話は変わる。

 だから……。

「綾瀬」

 伏黒くんが、私の呪力を受け取っても平気なのは……そういうご都合主義的な理由。

「……伏黒くん、あの」
「何?」

 伏黒くんのまっすぐな視線が私に刺さる。
 私と伏黒くんは今、伏黒くんのベッドの上で向き合って座ってる。

「本当に……ここでスるの?」

 さっきまで私たちは一年生の教室で座学の授業を受けていた。
 けれどその途中で、各所で1級相当の呪霊が何体か確認されたという連絡が入って。
 五条先生を始め、教師陣のほとんどが駆り出される事態となった。

 結果、私たちに与えられたのは自習時間。
 当然ちゃんとその自習時間を守るわけもなく。

 野薔薇ちゃんはちょうど欲しい服の発売日だったとかで、颯爽と高専から出て行き、虎杖くんは昼寝でもすっかーと自室に戻った。
 私も一旦帰ろうかなと考えながらも、五条先生の家まで少し距離があるし、と。言い訳のようにそれらしいことを考えながら、視線は伏黒くんに向かっていた。

「抱かれたそうな顔してたろ」

 見透かすような視線が痛い。
 伏黒くんは表情ひとつ変えずに私のことを見つめ、そして私の頬に手を伸ばした。

「別に……嫌ならやめる。でもやめるなら今しかないけど、どうする?」

 全部リードするくせに、最後の判断は私に委ねる。
 まるで私が自らの意思で、五条先生じゃなく伏黒くんを選んだのだと、証明させるように。
 伏黒くんはいつも、こうやって確認する。

 それが分かってるから。
 私は自らの欲求を満たしてもらう代わりに、伏黒くんのその欲求を満たすようにしていた。

「……嫌じゃないよ。だから」

 伏黒くんの頬に手を添えて、笑顔を向ける。

「私の呪いを受け取って」

 どちらからともなくキスをした。
 触れ合うようなキスを数度繰り返して、自然に開いていく口に互いの舌を絡めた。

「……っ……ん…」

 深く舐めとるようなキスの最中に、伏黒くんの手が私の上衣に伸びて。
 ゆっくりと、丁寧に私の服を脱がしていく。

「……いつ見ても綺麗だな、オマエ」

 現れた私の身体を、伏黒くんはいつもそうやって褒めてくれる。
 気恥ずかしいからやめてほしいけど、無意識的に言っているみたいで、毎度変わることはなかった。

「虎杖、隣の部屋にいるから……声我慢して」
「……ぅ、ん」
「我慢できないときは……キスするから言えよ」

 煽るような注意をして、伏黒くんの顔が私の胸へと下りていく。
 ブラジャーはまだ剥ぎ取ることをせずに、その固い生地越しに私の敏感な先端を探すように、伏黒くんはゆっくりと角度を変えて私の胸を揉んだ。

「……っ、ぅ」

 微かに胸の頂が生地と擦れて、私の身体が小さく揺れる。
 その些細な反応を伏黒くんは見逃さず、そうと分かれば、その場所を重点的になぞるようにして、下着の上から私の胸を擦った。

「ん……ぅ……ん……っ」
「下着越しでも感じる? ……やっぱエロいな、綾瀬」

 胸に触れながら、伏黒くんが私の首筋に顔を埋める。
 私の首をゆっくりと舐めながら囁いて、伏黒くんは私のブラジャーをそのまま下にずらすようにして押し下げた。
 そうすれば、支えを失った胸が、そのまま零れ落ちて。

「…は……ぅ…っ」

 直接触れた伏黒くんの手が温かくて、優しい。
 その手に覚え込ませるように、私の胸を揉んでは離して。
 そうして首筋から鎖骨へと下りていく伏黒くんの顔が、ついに私の頂をその瞳に移した。

「……っ…ふ…ぅ…あ……っ」

 舌先だけで、ギリギリ触れるように舐められたら。
 そのもどかしい刺激に腰が跳ねる。
 私の身体がそれを快楽だと伝えれば、伏黒くんはこの不確かな刺激を繰り返した。

「……ぁ…ん……ぅ…っ……ふし、…ぐろ…くん……っ」
「なに?」
「なに……じゃ……ぁ」

 もどかしくて、苦しいのに。
 どうしようもなく、気持ちいい。

「膝擦り寄せてる。……どうして欲しいか言えよ」

 分かっているくせに、伏黒くんはその答えもやっぱり私に求めるの。

「いじ、わる……言わな…」
「意地悪じゃない。俺はオマエが気持ちよくなることしたいんだよ」
「……そ、んな……ぁ」
「だから言えよ。……五条先生より、俺がオマエを気持ちよくしたい」

 まっすぐな瞳はその奥に確かな熱を宿してる。
 そっけなく響く言葉の中には、私の計り知れない想いが詰まっていて。

「……もっと……めちゃくちゃに……シて」

 望まれた通りに想いを口にする。
 伏黒くんのエッチは優しすぎて、苦しくなるから。
 何も考えられないくらいにむちゃくちゃに抱いてほしいの。

「……分かった」

 私の願いを聞いて、伏黒くんはそのまま私のことをベッドに押し倒す。
 そうしてそのままかぶりつくように、私の胸を貪った。

「……んっ……ぁ……ぅ……んっ」

 先程まで掠めていた舌がねっとりと私の頂を円を描くように舐め上げて、もう片方の胸の頂はぐりぐりと捏ねて、対照的な愛撫を繰り返す。
 その一方で、もう片方の手は私の下腹部へと伸びて。

「……あんまり煽んな……綾瀬」

 ほんの少し怒ったような声で言って、伏黒くんが私のショーツの中を指でなぞる。
 割れ目をなぞっただけなのに、水溜りを弾くような音が響いた。

「……ん…ぅ……っ」
「これ……俺が胸触ってるから? それとも、今朝五条先生とシてきた?」
「ちが……ぁ…っ……」
「どっちが違ぇんだよ」

 答えたいのに、乱れてしまう声を出すこともできず。

「……ぅ…ぁ……っ…伏、黒……くん……っ」

 ゆっくりと伏黒くんの細長い指が、私のナカに沈められていく。
 ナカを確かめるように、慎重に抜き差しされれば、またもどかしさが募る。
 なのに、どうしようもないくらいそれが気持ちよくて。

「どんどん溢れてきてる。……めちゃくちゃに抱いてほしいんじゃなかったか?」
「……っ…ぁ……ぅっ」
「……綾瀬」

 何も言えない私に、伏黒くんがキスをする。
 伏黒くんらしい、優しいキスは一度始めたら少し長くて。

「……はぁ……ん……んんっ」

 口を塞いだ途端に、伏黒くんが私のナカに指を増やした。
 そうしてナカを掻き出すように二本の指をバラバラに動かして、抜き差して。

「ん……んんっ……ん、ん……っ、ん」

 身体が跳ねても、伏黒くんはキスを止めてくれない。
 息が苦しくて、頭がクラクラしてきて。
 もう正常な思考なんて、無理だった。
 伏黒くんの唇がやっと離れた時にはもう、身体の震えも涙も止まらなくて。

「……っあ……んんっ」

 伏黒くんの顔が私の下腹部に埋まっても、もうそれに抵抗することなんてせずに。
 私は伏黒くんの髪を掴んで自らの蜜壺を彼の唇に寄せていた。

「ぁ……んっ、ぁ……は、ぁ」
「声……虎杖に聞かれる」
「で…も……っ……ん」

 注意しながらも、伏黒くんは私の蜜を舐めることを止めない。
 何度も舌の抜き差しを繰り返して、かと思えば思いついたように目の前の敏感な蕾を剥いて摘んだ。

「……っあぁっ……は、ぁ……ああっんっ」

 身体がガクガク震えても、伏黒くんは私のナカを丁寧に舐めて。
 その度に溢れていく蜜を、綺麗にその舌に掬って。

 強請っても、伏黒くんは性急に欲を打つことはしない。これ以上ないくらいゆっくりと、確かめるように私のすべてを味わって、身体中が伏黒くんを求めてやまなくなるまで慣らす。もうどうしたって抗えないくらいに、私の頭も身体も全部ショートさせて。
 そうして私が幾度果ててやっと、伏黒くんは自らの欲望の塊を晒した。

「……挿れていいよな」

 その言葉に「早く挿れて」と答えた時の、伏黒くんの顔はいつだって苦しげ。
 私のナカに埋まる肉棒の熱が、私の身を焼き尽くすくらいに熱くて。

「……綾瀬……ごめん。……自習時間終わっても……抱いてていい?」
 
 ダメなんて、言えるわけなかった。




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