Gentian desire@
燻る熱を今すぐ吐き出したいと思っても、肝心な熱が灯らない。
竜胆の身体には誰にもどうすることもできない欠陥があった。
「ん……ぅっ、竜胆く、ん…気持ちよく、ない? ……っ!」
「喋ってる暇あんならちゃんと咥えろよ」
どんなに上手に舐められても、扱かれても。
そこには不完全な熱が灯るだけ。
仮初の灯火はすぐにでも消えかかりそうな熱しか灯さない。
時間をかけて宿った灯火は、それでも人並み以上の質量をそこに集める。名前も知らない女が自らの肉塊に生唾を呑む姿が、吐き気すら覚えるほど嫌いだった。
「……声、出すなよ」
目を閉じて、女の肉壁のナカに自らの熱を押し込む。いろんな男を知って柔らかくなったナカですら、竜胆の熱を収めるには窮屈だった。
「あぁっん」
「……っ」
反射的に漏れてしまう喘ぎ声すら不快で、竜胆はその口の中に布切れを押し込んだ。
そんなふうに乱暴に抱いても、女のほうから竜胆を求めてくる。
竜胆にとって不特定多数の女を抱くことに『処理』以外の何の意味も存在しなかった。
「……莉亜……っ、ぁ…莉亜っ」
誰の身体を抱いても、頭に浮かべるのはたった1人。
竜胆の身体に燃え尽きるほどの熱を与えてくれる、彼女のことだけを考えて、竜胆は名も知らぬ女を腕に抱いた。
心も身体も全部、簡単に壊してしまうくらいの深く重たい感情を、莉亜にぶつけないためだけに。
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