「信二さん、これ、なんだと思います?」


今考えてみるとなんなんだ、この旅行は。
このあいだ抽選をしてハワイ旅行を当てた小谷野が「誰も連れて行く人が居ない」と泣きついてきたので無視することもできず、とりあえず男だけの南国旅行が始まってもう三日目。ラッキーなのかなんなのか、でも女っ気が微塵もないのはいかがなものか、
そんな心中、賢介が見せてきたのは、無情にも彼女からのメールだった。これは絡まずにはいられない、だろ!


「稲葉さーん!こいつにタバスコ百箱お願いします!」
「え、百箱!?お金、足りな「稲葉さん!!冗談をまにうけないで!」
「だって見てくださいよ!こいつ、彼女なんかからメール受け取ってるんですよ!」
「そんな…だいたい、皆さんもういるでしょ、彼女くらい」
「よう言うで。その彼女、俺が紹介したんやんか」


さっきまで日光浴をしていた糸井がひょこ、と顔を出してくちばしをはさんだ。え?なになに、とこの旅行の責任者(金子さんが勝手に決めた)は気色悪いくらい笑いながらこっちに来る。「そのせつは感謝しておりますよー」と賢介はぶっきらぼうにそう言った。な、なんだと、俺にも女の子紹介しろ!おい!


「って、俺が聞きたいのはこれです!このメールの最後にある…この文字!」
「"xoxoxo"っていう、これ?」
「なんやろな、これ」


若者グループは謎の文字をまじまじと眺め、理解不能といったような表情を出す。賢介にいたってはまさか悪い意味なんじゃ、とかなんとか不安がって顔がどんどん青ざめていく。……おもしれー


「なあ、あれってそういうことだよな?」(こそっ)
「あ、金子さん。…俺もそうだと思うんですけど」(こそこそ)
「あ!二人とも、分かったんですか?!」


さっきまでディスプレイを穴が開くほど見ていた糸井は鋭く俺たちの様子を察して近づいてきた。賢介もそれに吸い寄せられるように俺たちのほうへくる。言っとっけど…この意味はただでは教えてやれねえぞ!教えたあとの賢介のニヤニヤした顔が思い浮かんだのでますます言いたくなくなってきたのは、隣でダルそうにしている金子さんも同じだろう。だいたいお前はいつから彼女がいるんですか!先輩聞いてないよ!おら、教える代わりに誰か紹介してく「それ…、"ハグ&キス"って意味じゃなかったっけ、」 な、に!まさかの稲葉さんが暴露!まさかのあの稲葉さんが言っちゃいました!しかも自分で言っておきながら顔超真っ赤!なんだよこのひと!おっちゃんのくせに純情だよ!


「うわ〜余計なこと聞いてもうた」
「い、糸井だって知りたがってただろ!」
「なんか萎えたわー。賢介以外あっちでビーチバレーしません?」
「あ、それ賛成」
「ちょっとみんな待って!」


行くぞー、という金子さんのあとを必死に追いかけて、それでも大事そうに携帯を握り締めて離さない賢介を見ると、やっぱり素直に応援しようと思える。っていうのもそれはあいつがそれだけの男だからだろうな。……あーなんかモヤモヤする。絶対ビーチバレーであいつの顔面だけ狙ってうってやろっ、と。


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アンケでいただいた希望を引用、(thx!ももちさま)

熊軍団書きたい!というこおりの願望とももちさまのリクが見事に被りました(^^)/
一応、高橋目線田中メインということで…笑

でもお互いどう呼び合ってるのか理解が浅いのでぐだぐだになってたらごめんなさい(;Д;)
糸井は関西弁なのか!?答えはCMの後!!←
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