今日の学校は、あたしにはなんだかよく分からない話題で持ちきりだった。皆がみんな口を揃えて、昨日あったお笑い日本一の大会やらの話をするからもう退屈だった。越智にいたってはそんなのも知らないのかと馬鹿にしてきた。よっぽど、馬鹿はどっちだと言ってしまいたかったけど、そんなことすると部活の雑用が奴の裏の働きによって全て回ってくるからそれだけは避けようと思い、何も言わずにいておいた。でも越智の言葉がやっぱりムカツいたので、帰宅した今、"M-1とかなんとか知らないのが普通でしょ、ばか"とメールを送ってやった。返事は即行で返ってきて"ばかちゃう!てかお笑い嫌いなん?"とあった。


「『嫌いじゃないよ。むしろ好きだけど』…っと」


携帯の画面が送信を表したのを確認してから、携帯を閉じる。足元に転がる、友達が貸してくれた昨日のM-1のDVDを手に取ってみる。「見て損はないよ!」と強くおされたので断るに断れず借りてきてしまった。部屋の隅にあるテレビの電源を付けてDVDを入れる。お笑いは好きだけど、なぜかこの番組は前から見る気にはならなかった。確か去年の今ごろ、阿部先輩がキライって言ってた気がする、から…ってなんだなんだ自分。なに気にしてるんだ、ばか。


「…あたしやっぱり馬鹿なんじゃん!」


越智の言うこともまんざら嘘でも…なんて暗いことを考えていると携帯が軽快なメロディを放ち始めた。DVDを止めるのも面倒くさいので、映像が流れたまま携帯をとってみるとそのディスプレイには越智ではなくてなぜか阿部先輩の文字が示されていた。なんでなんでなんでなんで!?急いでメールを開けてみるとそこには絵文字も顔文字も何一つ無い殺風景な雰囲気で"それマジで言ってんの"と書いてあった。なんだかすごくマズいことをしたような気がする。ううん、絶対した。冬なのにへんな汗が流れ始めた。さっき越智に送ったはずのメールは無情にも先輩へと送られていて、上手な弁解の術なんてもちろん持ち合わせていなくて、でも"それマジで言ってんの"と書かれた何行も何行も下に書いてある言葉は、あたしでも理解できるもので。

ある意味現状が理解できない中で、テレビから笑い声が放たれる。ニヤけが止まらない頬をおさえながら、もしあたしがこの番組をスキと言ったら、先輩も好感を抱いてくれるだろうか、なんて考えた。





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1222 / for_ナナさん

初めは二人に会話させるつもりでした…!
で、10には思う存分ツンデレ節炸裂してほしかった(/_・)←
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