ああもうこんな時間になってもうた!みんなが優勝ムードに酔いしれて、少しは帰りが遅くなることは予測してたけど、まさかぐっさんがあんな飲むなんて…!おかげでタクシー拾って家まで送り届けてそれでこんな時間になってしまった。ぐっさんも早く彼女作れや!可愛くて要領よくて酔ったら迎えにきてくれるような優しい子!そうしたら俺はもっと早くに家に着けたわけで。目の前の彼女に、こんな心無い笑い浮かべさせんでもすんだんや。全部ぐっさんのせいや。全部!


「お帰り」
「た、ただいまあ…」
「優勝おめでと!」
「お、怒ってないん?」


未だに、満面の笑みを浮かべる彼女は逆にちょっと怖かった。べっつにーとだけ言ったものの、明らかに目には水が…って、うそ。泣いてるやん、お前泣いてるやん!


「う、目から汗が」
「ちゃうやろ!」
「大祐のぜいだ」
「すいません…」
「別に帰りが遅いの怒ってるわけじゃないの。」
「、え?」


驚いてる俺を見て「鈍感、」とだけ言った。そんな彼女の頬はじわじわと赤くなってきて、とうとう俺から顔を俯けてしまう。そんな仕草さえも可愛くて、白くて小さすぎる体をふわりと包み込む。あまりに細いからビックリした。俺が遠征してる間、こいつ何食っとったんや。こんな小さい体に不安を抱え込ませていた自分が情けなくてしょうがない。ごめん、と呟くとあのね、と消えそうな声が返ってくる。


「これからは一緒にいれるんだよね?」
「おう。少なくとも冬の間は」
「じゃあ…、今までの時間はこれからの時間でチャラにしよ?」


そんなこと言われたら来シーズン遠征に行きたくなくなるやろ!でもまあ、そんなことになったらこいつはまた泣きそうな顔で笑って、いってらっしゃいって言ってくれるんやろうな。でもなんだかそんなの、フェアちゃう、よな。




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紅蓮さまへ:1110
ビール掛けのあとはもっと甘くてもよかったんですが
待っている女子の気持ちはこうだろうなあ…と。
複雑な状況で人を好きでいるのは難しいですよね。
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