▼ 1話
あれから数週間がたち、人識くんがいない間、伊織ちゃんを預かることとなった。現在、京都にいるとかなんとか聞いたけど、哀川がいるのにわざわざ京都に行くわけもない、悪いけど。
「鮮織ちゃーん!お客様が来てますよう!」
「おう、さんくー伊織ちゃん!どちらさんかな?」
「はじめまして、だよな?」
「……多分そうなんじゃねーかな。アンタは、沢田のお父さんだったかな」
玄関にでると世にもシュールな格好をしたおじさんがいた。どこかの工事現場にでもいそうなおじさんが立っていた。
はじめまして。いや、一度会ったことがある。それも零崎してるときに。まあ、顔は見せてないから、覚えてないと思うけれど……覚えてないと信じたい。
「話があるんだが…中に入れてもらっても」
「要件は手短に、ここでお願いしまーす」
また、非日常は訪れようとしていた。
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