異人館ホテルオリジナル | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
TOPに戻る
100年の呪縛

明智「……」

剣持「!?
どうしましたか? 明智警視」

明智「さっきから気になっていたんですが。
あの石像……変だと思いませんか?」

剣持「う〜ん?」

金田一「何が?
俺には普通の石像に見えるけど」

明智「金田一君。
君は、あれがなんの石像か知ってますか?」

明智「え!? メデューサの石像だろ?」

明智「そうです。
だから変なんですよ」

金田一「???」

明智「ふぅ…。
ギリシア神話のメデューサの話を知らないんですか!?」

金田一「いやぁ〜〜。
そういった話はちょっと……」

美雪「そんなんだからこの前のテストも……」

金田一「テストはかんけーーねーーだろ!!」

明智「まったく…。
メデューサは、その恐ろしい姿で見た者を石に変えてしまう、ギリシアの伝説の怪物です。
メデューサを退治するために、英雄ペルセウスは、楯を鏡のように磨きあげて戦いにのぞんだ。
楯に映った自分の姿を見たメデューサは、自らの魔力を受けて石になってしまった。
この像は、メデューサが石になったシーンを再現しています。
それなら、ふたつの像の位置関係は変です!
メデューサはペルセウスの方を見ているべきなのに、このメデューサ像はそっぽを向いて立っている。
このホテルには、315号室と316号室に抜け穴があったぐらいですから、石像を正しい向きに……」

金田一「そうか!! やってみる価値はありそうだな!」

俵田「?」

剣持「いったいなんの話で?」

明智「剣持君!
『赤髭のサンタクロース』は、どうしてこのホテルを麻薬取引に使ったんだと思いますか?」

剣持「え!?
そりゃ例の抜け穴を使って取引を……」

明智「それも理由のひとつでしょう」

剣持「ほかにも理由が?」

明智「ええ。
『赤髭のサンタクロース』は、何かのきっかけで、戦時中なくなったこのホテルの図面を手に入れ、315号室と316号室を結ぶ抜け穴を『発見』した。
でも、彼の『発見』はそれだけじゃなかった……」

金田一「この石像、動かせそうだぜ!」

明智「では、やってみますか」

金田一「このメデューサ像をペルセウスのほうに向けて……」

俵田「な!?」

剣持「床に隠し階段が!!」

明智「思ったとおりですね。
これが『赤髭なサンタクロース』の麻薬ルートの正体……。
秘密の麻薬貯蔵庫!!」

金田一「あんな石像から麻薬庫にたどり着くなんて、さっすが明智警視!!」

明智「ふぅ。
金田一君も少しは本を読んだらどうですか?」

金田一「(うっ
ヤブヘビだったか……)」

明智「この量と質なら、ざっと50億にはなるな…。
おそらく、この館を建てた貿易商が巨万の富を手にした輸入品というのが、麻薬だったんでしょう!
しかし、貿易商自身も麻薬に冒され自殺。
以来、この麻薬は『赤髭のサンタクロース』に発見されるまで100年近く地下で眠っていた。
これで、本当にすべての謎が解けこの呪われた館もやっと解放された。
100年もの永き呪縛から」