墓場島オリジナルEND | ナノ
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墓場島〜家族の絆〜

剣持「それとな、瀕死の重傷だった檜山が意識を取り戻したよ。
まだ絶対安静だが回復に向かってるそうだ。」

金田一「……なあオッサン。ちょっと頼まれてくれないか?
……」

剣持「わかった! 俺に任せとけ!」

檜山「よう!
死に損ないの『亡霊兵士』に何の用だ名探偵」

金田一「意外と元気そうじゃないか?」

檜山「ベッドの上から動くことも出来ないがな。
……で何の用だ」

金田一「森下が自白したよ」

檜山「なっ!?」

金田一「お前が命懸けで森下を守ろうとしたように、森下にも守りたいものができたんだ。
……森下のおなかの中に
子供がいるんだ。」

檜山「子供!?」

剣持「金田一! 連れてきたぞ」

檜山「レミ!? なぜ……。
それに子供って……」

森下「あたしと達之の子供……。
先週の検査ではっきりとしたの。もう4か月ですって!
あたし、ちゃんと罪を償うつもりよ。生まれてくる子に
母親として胸を張れるように」

金田一「死んだって何の解決にもならない!
自分自身と森下と
生まれてくる子供のために
生きてくれ!!
生きて……。罪を償ってくれ!
生きてさえいれば何度でもやり直せるんだ!!」

檜山「……ケッ!」

森下「達之……。」

檜山「……。
俺とレミは、長野県の黒坂村ってとこで育ったんだ……。
人口たった40人ちょっとの、自然に囲まれた山奥の小さな集落で……。
みんな畑仕事と林業を営みながら、豊かじゃないけど昔ながらののんびりとした生活を送ってたんだ……。
山々を渡る風……。森のざわめき……。畑の土の匂い……。
今でも、ありありと思い出すよ。
あの頃は、みんなが家族のように助けあって……。俺もレミもあの村が大好きだった……。

……でも、その村は
今はもう地図にも載ってない……。
あの赤い悪魔が俺たちの村を
食い尽くしてしまったんだ…!!
……。

……俺とレミは
家もすぐ近くで
小さい頃から兄妹みたいに
育ってな……。
どこの村でも、俺たちぐらいの年のヤツはみんな都会を夢見て
村を出て行っちまうが、俺は
なぜかそんなこと全然考えなかった。
ここで働きながらいずれ村の誰かと結婚して……。
この時の止まったような静かな村でひっそり暮らしたい……。
それが俺の願いだった…。
だが……そんな小さな願いも
永遠に叶わなくなっちまった……!!
あれは、俺とレミが大学と高校の受験を終えた2年前のことだ。

ふもとからの消防車は
間に合わず……折からの強風にあおられて火はますます燃え盛っていった。
火が完全に消えたのは、それから3日も経ってからだ……。
その間に黒坂村は完全に燃え尽きてしまった……。
村の生存者は俺とレミを含めて
ほんの数人……。
警察が言うには火元が風上の林で、村の人が火事に気づいた頃には村が火に囲まれていたために逃げられなかったんだろうって。
その後の捜索で、焼け跡から村人32人の……顔もわからないほど焼け焦げた無残な遺体が見つかった……。
その中には、俺のおやじとおふくろ……それにレミの家族も……。

あの日俺たちはすべてを失った……。
家族も、家も、帰るべき故郷も
、何もかも……。

それから俺は、東京でひとり暮らしをして大学にかようことにしたんだ。レミも親戚を頼って東京の高校にかようことになったから、いつでも会えるしな。
もう忘れようって……。
……でも俺たちはそこで
再びあいつらに
出会ってしまったんだ!

あとはお前の推理したとおりだよ名探偵。
俺は岩野たちのサークルに入って、レミは普通の高校生として
まったく別の生活を続けながら
復讐計画を練り上げていった…。
さあ!! もうコレでいいだろ!」

森下「達之……」


金田一「子供か……。
ふたりの生きがいなんだろうな……」

剣持「うむ!
子供の幸せを願って生きる。
復讐を考えながら生きるより
何倍もマシじゃないか」

美雪「すごいなふたりとも。
なんか強くなったってカンジで……」

佐木「ホントすごいですよね!!」

美雪「早く親子そろって
静かに暮らせるといいのにね」

剣持「自ら罪を認めたし、ふたりともまだ若いんだ。
いくらでもやり直すことができるだろ」

金田一「ああ。
そう遠くないうちに実現するだろうな。
笑顔の絶えない明るい家族が」