銅像→『1、体育館』【PS追加ENDバスケ仲間】 | ナノ
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そうです、体育館です。
あそこには、いろいろな噂があるんですよ。
例えば……そうですね。
バスケ部に所属していた、大山幸二君の話をしましょうか。

彼は、目立たなくおとなしい性格でしたが、バスケに対する情熱は人一倍持っていました。
でも、レギュラーの座をつかむことなく、補欠にもなれず、後輩に混じって球拾いをやらされていたのです。

そういう生徒は、部活をやめてしまうことも多いのですが、彼はまじめにバスケ部員として活動していました。
彼は、レギュラーや補欠の生徒の練習が終わった後、一人で夜遅くまで練習していました。

大山君はレギュラーになれなくても、バスケができるだけで幸せだったんです。
しかしあるとき、一人で遅くまで練習していることが、問題になってしまいました。
そして、一人で夜遅くまで体育館を使用するのを禁止されたのです。

大山君は悲しみましたが、先生の言い分はもっともだと思いました。

それから、しばらくは、公園や路上で練習をしていたのです。
十日ぐらいたったころです。

公園からの帰り、学校の前を通りかかると、体育館からボールの弾む音がしました。
もう、十一時を過ぎています。
大山君は不思議に思い、学校に入ると体育館に向かいました。
体育館の窓に光はなく、部活の練習にしては暗すぎます。

音も聞こえないので帰ろうとしたとき、また、ボールの弾む音が聞こえました。
「誰だろう、真っ暗の体育館で練習しているのは……」
そう思うと、うらやましくて、しかたなくなったそうです。
そして、居ても立ってもいられずに体育館に入りました。

中は真っ暗で、音も止まってしまいました。
「おおーい、誰かいるのか」
「僕も、一緒に練習させてくれよ」
辺りは静まりかえり、誰も答えませんでした。

大山君があきらめて帰ろうとすると、奥の方に人影がボーッと浮かんで見えてきました。

彼がそーっと近づくと、そこにはバスケのユニフォームをきた生徒が4人立っていました。
(見たことない生徒だな)
と大山君は思いました。
「君達、バスケ部じゃないよね」
大山君がそういうと、彼らはいったんです。

「一緒にやるかい、そのかわり内緒だぜ」
大山君は悩みました。
しかし、夜の練習を禁止されてから何日も経っていたため、ちゃんとした練習をしたくて、がまん出来ませんでした。
「うん、わかったよ」

そういうと大山君は、彼らとバスケ部の練習を始めたんです。
しばらくして、その中の一人がいいました。
「明日も来るかい?」
大山君は、今度は迷わず答えました。
「いいのかい?」
「そのかわり、誰にも内緒だぜ」

そういうと4人は、体育館の向こう側へ消えて行きました。

次の日、大山君は夜が待ちどおしくてたまりませんでした。
そして、その夜、約束通り体育館に行くと彼らは待っていました。
「待っていたよ」
彼らの一人がそういうと、5人は再びバスケの練習を始めたんです。

そんな日々が十日あまり続きました。
ある夜、また出かけようとした大山くは、両親に見つかり練習に行くことができなくなりました。
しかし、大山君は夜中、こっそり抜け出して体育館へ行きました。

「今夜は、こないのかと思ったよ」
そういうと、彼らはにっこり笑いました。
「もう、これないかもしれない」
大山君がそういうと、彼らはいいました。
「なぜだい、俺達と練習するのが、嫌になったのか」

彼は、きっぱりと否定したんです。
「違うよ。
夜遅くまで出歩くことを両親に怒られたんだ。
ほんとうは僕も君達とズーッと練習してたいよ」
「だったら来いよ」
「でも、もうだめだよ。
わるいけど、いままで楽しかったよ」
4人は近づきながらいったんです。
「毎日、来なくちゃだめだよ」
「だめだよ、帰さないぞー」
彼らは大山君の周りを取り囲みました。
「一緒にバスケやろうよ」

大山君はそのとき以来、行方不明になりました。
しかし、夜、体育館にいくと5人でバスケの練習をしているそうです。
彼らは5人揃いました。
今度は試合相手を探しているそうですよ。

だからバスケ部では、夜5人で練習してはいけないと、ひそかにいわれているそうです。
僕はこの話を聞いた時、すぐに地縛霊のせいだと思いましたよ。
この学校では、潜んでいる霊の存在を知らないまま、体育館を利用している人が多いんです。

倉田さんも、気をつけた方がいいですよ。
さあ、僕の話は、これで終わりです。
次はどなたですか?


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