……そう?
普通だと思うの。
それなら、それでいいけれどね。
……それからしばらくして、塚原君は、机の中にプレゼントが入っているのを見つけたの。
まあ、そんなことは、別に珍しくもないんだけれど。
中を見てみると、折り畳みの傘だったわ。
「なんだ、冴えないプレゼントだなあ」
……彼は、そんな憎まれ口を叩いていたわ。
そのくせ、放課後になって雨が降り出すと、その傘を持ち出したのよ。
「俺のファンが、俺に風邪をひかせたくないって、くれたんだ」
なんて、自慢するのも忘れなかった。
広げてみると、結構大きな傘だったわ。
塚原君は、それを使って帰り始めた。
ところが、雨粒が傘を叩くリズミカルな音に混じって、変な音がするのよ。
ミシミシ……ミシミシ……という、きしむような音。
「なんだあ?」
塚原君が傘を調べようとしたとき。
ものすごい勢いで、傘が閉じてしまった。
塚原君は、胸から上をすっぽりと包まれてしまったの。
見ていた生徒たちは、大笑いしたわ。
いつもカッコつけている塚原君が、とんだドジをしたってね。
ところが、塚原君の傘は開かない。
みんなは、笑われたのが恥ずかしいのかと思った。
でも、そのうち、傘の中からどくどくと血があふれてきたのよ。
……誰かが悲鳴をあげたわ。
先生たちが駆けつけて、塚原君を傘から引っ張り出した。
でも、そのときにはもう、彼の首から上はなくなっていたんですって。
もちろん、傘の中にもなかったわ。
たくさんの人が見ていたのに、塚原君の首がどこに消えたのか、誰にもわからなかった。
次の日、立花さんはひっそりといなくなった。
どこか遠い町に、転校したんだそうよ。
目だたない彼女のことを、気にする人なんていなかったけれどね。
うふふ……。
さあ、これで私の話は終わりよ。
次の人は、誰かしら。
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