3、ほかのトイレを探す⇒2、逃げ出した⇒1、調べる(血文字END) | ナノ
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そこからは、霊気なんてものはまったく感じられなかったんだ。
何の変哲のないトイレに見えた。
僕は、思い切って中に入り、中野を探してみることにしたんだ。

足を踏み入れてみたけれど、さっきのように見えない手に捕まれることもなかった。
トイレの中なんてさ、捜すところは限られているじゃない。
個室の中が、掃除用具入れの中にでも隠れない限り、入口からでも見渡すことができるよね。

僕は、一つ一つ個室の中をのぞいて回ったんだ。
そして、とうとう最後の個室をのぞく番になった。
それは、一番廊下側に近い、暗くてじめじめしているトイレだったんだ。

気味が悪いなと思いつつも、のぞいてみると、便器の横に何かが落ちていた。
近づいて拾い上げて見ると、学生服のボタンだったんだ。
どこの学校のものかは、わからなかったけれども、少なくともこの高校の制服の物ではないことはわかったよ。
「あっ」

僕は一瞬にしてひらめいた。
それが中野の制服から落ちたボタンかもしれないってこと。
それを裏付けるものなんて何もなかったんだけど、これは中野のボタンに違いないって僕は確信したんだ。
「中野君……」
そうつぶやいた瞬間だった。

個室の扉が突然閉まってしまったんだ。
僕は、その時ボタンを拾う為に個室の中に入っていた。
つまり閉じこめられてしまったんだ。
びっくりして扉を開こうとしたんだけれど、びくともしない。

僕は、さっきの恐怖を思い出したんだ。
半泣きになりながら、扉に体当たりを続けた。
「たすけてくれ、たすけてくれーーー」
できるだけ大きな声で助けを求めながらね。

でも、いくらわめこうが扉にぶつかろうが、いっこうに誰も来てくれなかった。
怖かったよ。
別に何か出たというわけでもないんだけど、自分以外誰もいないはずのトイレの扉が勝手に閉まって、開かないんだ。
いつさっきの手が出てくるか知れたもんじゃない。

泣き叫びながら、拳で扉をたたき続けた。
それでも、誰も来てくれないし、扉も開かない。
そうしているうちに、扉をたたいている音に交じって何か聞こえてくるような気がしたんだ。
僕は、扉をたたくのをやめて、耳を澄ましてみた。

……何にも聞こえない。
でも、耳には聞こえなくても、確実に何か聞こえてくるような気がするんだ。
それは、扉の方から聞こえてくる気がする。

僕は、扉の近くにいるのが恐ろしくなって、扉からできるだけ離れようと、後ろの壁に張りついて、扉の方を見つめていた。
そして、あることに気が付いたんだ。
トイレの扉ってよく落書きがしてあるじゃない。

ひわいな絵が描いてあったり、
「△△君大好き 2−B××子より」
とか書いてあるやつ。
はじめは、そのたぐいかと気にもしていなかったんだけど、一つだけ違うことが書いてある落書きに気がついたんだ。

それは、鉛筆で書かれてあるものかと思ったんだけど、よく見ると、爪かなにかで引っ掻いたような感じだったんだ。
その落書きは、こう書かれてたいた。

「細田君。
どうして助けてくれなかったんだ。
一人で逃げるなんてずるいよ。
あんなに助けを呼んだのに……。
僕は殺されてしまった。
この中に引きずり込まれて死んだ。

見えない手で首を絞められて窒息死だ。
苦しかったよ。苦しかった……。
どうして僕だけがこんな目にあわなければならないんだ。
細田君。
僕は、君を呪うよ。
呪ってやる。
簡単には殺さない。

ゆっくり殺してやるんだ……。
逃げられないよ。
いや、絶対に逃がさない。
君はこの学校から離れられない。
君がここを卒業する時、君は死……」
僕は体中の血が引いて行くのを感じたよ。

そして、その血が流れ出したかのように、壁の落書きから血が滴り始めたんだ。
引っ掻き傷の文字から、何本もの筋をつくってね。

血が流れおわったころには、落書きは消えていた。
そして、扉がひとりでに開いたんだ。
それで僕は助かった。
いや、実際には未だに……助かってはいないけどね。
細田さんは、急にハァハァと苦しそうに息をしはじめた。

「ほら……この…話をしたから、中野が怒っ…たみたいだ。
今なら、君にもみえるはず……だよ」
そういって細田さんは、シャツの首の部分のボタンをはずし、広げて見せた。
「ほら、首の所に手のあざがあるだろ……」
確かにあるわ!!

その手のあざは、まるで細田さんの首を絞めているかのように、首に巻き付くようについていた。
細田さんの顔は、急に真っ赤になり、そして青ざめた。
身体中から玉のような汗が吹き出している。

「細田さん!」
そこにいた全員が、ただならぬ状況に席から立ち上がった。
細田さんは、痙攣を始めている。
唇の色が次第に紫がかってきた。
いったい、どうしたのかしら。

思わず手をのばすと、首のところの何もない空間にある、『何か』に触れた。
「きゃっ」
私は、驚いて飛びのいてしまった。

「う……げほっ」
細田さんが、急に咳込み、大きく息をしはじめた。
……………。
……………。
……………。

しばらくして、細田さんは落ち着いたようだった。
「ほら、わかっただろ。
僕は中野にうらまれているんだ。
僕がこの学校に入学できたのも中野の仕業かもしれない……。
他の学校に合格しなかったのも、中野のせいだとまではいわないけど。
入学してしばらくして、このあざができた。
そして、毎日少しずつ首を絞めていくんだ。
毎日、少しずつ、少しずつ息苦しくなっている。
この分だと、本当に卒業するころには……」
細田さんは、下を向いたまま、しばらく黙っていた。
みんなも何もいえず、じっと細田さんを見ている。
細田さんは、下を向いたままぼそりといった。

「あのトイレの個室には、いまだに流れた血の跡が残っている。

(女主人公)
本当だよ男子の間では結構有名なんだから。

(男主人公)
見に行ったらいいよ。
それで僕の話が本当だっていうことがわかる。

でも、気を付けなよ。
君達は、僕の話を聞いた。
中野は君達のことを良く思っていないはずだ。
恨まれるかもしれないよ。
そして恨まれると、もう逃げることはできない。
絶対に、絶対にね……。
さ、これで僕の話は終わりだよ。次の人、誰かな……」

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