しりーず | ナノ


ふわり。その言葉がよく似合う。スカートが短く下品なわけではない。毒々しい
香水の匂いでもない。笑顔や雰囲気が彼女をあらわす言葉となっているのだ。

同じ風紀委員で、努力し一生懸命によくやっている彼女の姿に目がいく。

「真田くん、」

その彼女がパタパタと俺の元へと来る。俺の名前を呼んで欲しい。名字ではなく
、名前を。心地好い優しい声を名字はしているのだ。

「どうした」

廊下は走ってはいけない、そう彼女の中でもルールとして決まっているのだろう
、小走りでこちらへ来ていた。

「真田くんが見えたから、、」

幸せそうにかすかに頬を染めて微笑む。それに対して俺の顔の筋肉がゆるむのが
わかった。

「、たるんどる」

もはや小走りで来た名字にではなく、笑いかけてくれたことでゆるんだ顔を
晒してしまった自分に言ったも同然の言葉だった。

「あ、でもちゃんと報告もあるの!」
「何かあったか?」
「今朝の風紀検査のチェックリスト整理して報告してくれって、生徒会長さんか
ら、」
「整理はしてある、後は提出するだけだ」
「ふふふ、そんな気がしたの」
だって真田くんがやっていない筈がないもん、と嬉しそうに微笑む名字は凄
く可愛らしいと俺は思う。、、女の子らしい、のだ。

「今から報告に一緒に行こうかな、って。どうかな?」
「ああ。」

いつもなら1人で行くか会計である蓮二に頼むが、今回ばかりは話が違う。
傍にふわりと笑う名字の存在があってほしい、もう少し一緒にいたいと思っ
たのだ。

この気持ちは、、後々幸村にでも聞こうと思う。


ふわり、


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