#04#
お弁当を食べ終えた私は、知世ちゃんに書いてもらった地図を頼りに屋上庭園に向かっていた。結局先生が見つからなくて知世ちゃんに尋ねれば、サラサラと地図を書いてくれたのだ。うわぁ···女神。
「頑張れ!」と言う声援とともに。
花の調子とか、手入れの様子とか、肥料が必要な子とかの状態も知るため、メモ帳とシャーペンを持ち、屋上へ繋がる金属の重い扉を開いた。
キィー、と鈍い音を立てて開いた先には···。
派手な髪色の数人の人達と、黒い帽子を被っている人と、七さん分けの眼鏡やスキンヘッドや切原くんに柳先輩が、私を見ていた。
見つめ合う事数秒。
「し、失礼致しました!」
閉めたよ。
だって怖いもん。
話の様子は放課後にしよう。
よし、帰ろうと足を踏み出した所で、呼び止められてしまった。
「君、屋上に用があるんだろう?」
「え、と、···はい」
「先程は驚かせてすまなかった。俺達はただ集まっているだけだから気にせずに屋上に入るといい」
柳先輩だった。
開いたドアの隙間からこちらを伺う人達と目が合って、慌ててそらしてしまった。
「ですが、大事な人お話の途中なのでは?」
「何、たあいも無い話だ。気にするな」
「···それでは、あの。ありがとうございます。お邪魔します(?)」
「あぁ」
私はドアを開けて、一礼してからその場を去るように庭園へと急いだ。壁に持たれるようにして体重をあずけた。
(うわぁぁぁぁー···!!めっちゃ怖かったよ)
バクバクする心臓を抑えようと、数回深呼吸をした。そして前を見上げれば。
(うわぁー···凄い)
まるでフラワーパークみたいな庭園に、目を奪われてしまった。プランターに植えられた花達は元気よく咲き誇り、太陽の温かい光を全身に浴びているようだった。
何だ、やっぱり用務員さんいたんだ。
余計なお世話かもしれないが、枯れていたらどうしようとか、最悪なケースも考えていた。
1つのプランターに近づき、腰を下ろし様子を見れば、土も湿っていて水は充分にあげられているようだった。
「綺麗だね」
綺麗に咲いているカーネーションの花びらに付いた丸い水滴は、空の色を写していた。