「違うんだよ」


その声が震えていた、とさくらくんは後に笑って言った。


〜4〜


「来るの遅かったねえ。あれ、亀くんどうしたの?」

「あー、なんでもないや。ごめんな!」

「・・・」

「なまえちゃんてばタイミング悪いなあ」


なんとかさくらくんのおかげで誤解は解けた。部室に来ていた男子はそそくさと帰っていた。


「で?」

「あの・・・昨日言ったこと誰かに言っちゃったのかなあって」

「・・・ああ。それね」


含み笑いを浮かべたさくらくん。


「言ったの!?」

「さあ?気になるなら自分で確かめればいいよ」

「そんなの無理に決まってる!」


言わないでと言うのを忘れた自分も悪い。だけど、嫌々さくらくんに教えたことにさくらくんは気付いているはず。今回はさくらくんに助けられたからそのお礼(とも言い難いけれど)として教えた。


「何かあったらさくらくんのせいだ」

「そこまで責任はとれないよ〜」


飄々としているさくらくんを一瞥して部室を出て行った。
そのわたしの姿をさくらくんが何を思って笑って見ていたのかなんて気付くはずもなかった。


20140220

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