黒子のバスケ(長) | ナノ




09:料理


体育館に居る人達はほとんどが男だった。
さつきちゃんが料理を作れば良いのかもしれないけど家庭科室まで無事に辿り着けるか心配になる。

ご飯を炊いて肉や魚もガンガン焼いて頭の片隅に置いていた紫の巨人君を思い出してべっこう飴を作った。
彼は甘いものが好きなんだろう、こんな見知らぬ女からお菓子をねだる位だし。

作ったおにぎりを1人で頬張っていると授業で使っていただろうテレビが急に着いてノイズ音の後に猫が映った。

「皆頑張ってるかな〜?」
「説明するの忘れてたんだよね、猫太郎君」
「そうなんだよ!君達にとっても重要な事!!」
「“役割”の事を今から言うから覚えておいてね」

猫はスマホを取り出してあるアプリに指を指した。

「これを見てくれれば分かるけど君達の中にジョーカーは居るかな?ジョーカーは大切な役割を担っているよ」
「ジョーカーを失えば此処から出られないからね!気をつけて!!」
「「バイバ〜イ」」

プチンと切れたテレビから視線を移して上着のポケットからスマホを取り出してアプリをタッチする。
映し出された緑の画面上にトランプが沢山ある。
まるでタロットのようにかき混ぜられ纏められたトランプをタッチしてみるとゆっくりと捲られて見えたトランプに描かれていたのは“ジョーカー”。
私がジョーカーだったんだ。
此処から出る為の大切な役割、鍵、駒…である。
そんな私を彼らがほっとく訳がない。
まぁ、今のテレビの内容が体育館でも映し出されていたのなら、だが。

その内この場所を見つけ出し体育館へと向かうはめになるだろうから準備室の棚を見て料理を入れられる容器を探すことにする。

2020.7.11.


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