13~16



13、世界の外:下関(+遠藤緑)
「ねえねえ」
「何だよ」
「純愛だけどそれってホモだよね」
「それが?変か?」
「ううん」と俺の数少ない友達は親指を上げた。
「否定じゃないのー。愛に、垣根が無いことが証明されて嬉しいだけ」
「ん」ぐしゃぐしゃと頭を撫でれば悲鳴と共に聞こえた籠る声。
「イケメン下ちゃんったら照れてる!」
ところで下上なの、って。取り敢えず殴っておく。


14、亀山と下関B
「おはようございます」
「おはようござま、むぐむぐ」
騒動以来の初のシフト被り、亀山りりはいつも通りだった。丸ごと栗入り饅頭を頬いっぱいに詰め込んでいる。
「その、この間は有り難う御座いました。それで…聞きました。亀山さん、あの人たちに」
「キモッ」
一刀両断。何て奴だ、と唇が震える。出かかった礼の言葉も引っ込んだ。
「下関サン」
「…はい」
「貴方の為じゃ無いんで」
私がいらっとしたから、と冷えきった瞳。

「来る災難は早い内に摘まなきゃと思った次第で」

こちとら生活掛かってますから。けろりと言い放ち身を翻すジャージ姿。
「じゃあお金稼ぎを始めましょうか、下関」さらりと呼び捨て、亀山りりの思惑は謎だらけ。

***
さん付け→呼び捨て
亀山りり よりの 親愛度がup した !


15、上田と兎
「やっほ上田さん。下くんと上手くいってるー?」
「兎さん珍しいですね、奥から出てくるの」
「うんうん、答えは?」
「…そうですね、はい」それなりに、なんて。随分柔らかく笑うようになっちゃってまあ。
「色々あるかもしんないけどさー」
「はい」
「残ったら、良いねえ」
不器用ながら珍しく上手く付き合える人でしょ、と言えば彼は笑った。

「残ってくれたら、嬉しいですね」

***
職場の灰汁の強さについていけない。店はいつでも人材不足。


16、世界の外:遠藤緑(+下関)
「彼女が好きだったのに。冗談じゃなかったのに。損を見るのはいつも本気になった方」、ぼやいたら下関は無言で目を伏せた。
「彼女は、きっとお前が好きだったよ」
泣きそうになって、何回も酒を煽る。浮かぶ涙を煙草の煙で誤魔化す。端から見れば生き急いでいるようなこの光景、私には勿体無いくらいのイケメンの友達は目の前で眉を潜めた。
「友情」
「うん、だけどだけどさあ。好きになっちゃったら、止まらないじゃん?どうしようも無いじゃんー」
「うん」
「どうしたら、良かったのかなあ」
「俺には」
分からないけれど、前置いて彼は言う。
「お前に幸いがあれば良いと思う」
その言葉が神妙過ぎて余計に泣けてきた。下ちゃんこそ、あの上田さんと仲良くやってねと言ったら頭をぐわんぐわんとかき混ぜられる。
「照れてる?」
「煩い。お前が、そう言って自分を最後には誤魔化すことがむかつくんだ」
「だって」
幸せを、幸せになって欲しいの。
こんなお荷物放ったっていいのにわざわざ付き合ってくれる優しい下ちゃん。そんな貴方には、

「下ちゃんに関しては幸せなエンドロールしか認めたくないから」

再び頭を捉えた掌は、優しい手加減されたものだった。



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