002 転入生って割とすぐに打ち解けて、「あれ、地元ここじゃないの?」みたいな感じになる
ガラリと戸が開かれ、導かれるがままに教卓の隣に立つ、見慣れない顔の少女。 ―――転入生か。 ツナこと1年A組の沢田綱吉は机の上で頬杖をつきながら、ボーっと前を見ていた。周りは騒いでいるが、彼にとって外からこの並盛にやってくるというのは不幸の前触れのようなもの。例として挙げれば、黒スーツを粋に着こなした家庭教師の赤ん坊などがその象徴と言ってもいい。 また、友人であるイタリア人の獄寺隼人などが次々にやってくるのでツナの中では転入生というのは別に珍しくもなんともなくなっていた。 ただ、平和にマフィアじゃなきゃいいな―と思っていただけなのである。 カツ、カツ、と担任がチョークで彼女の名前を書いてゆく。 すると、多くの生徒たちの視線を浴びていた少女が口を開いた。
「イタリアから並盛に帰ってきました!!並盛ちひろです!!好きなものは食べ物と睡眠、嫌いなものは昨日私の大事なお菓子をいつの間にか腐ったやつにすり替えたリーゼントママンです。よろしく!!」 黒い上着…もとい男物の学ランを羽織ったショートカットの少女は、仁王立ちで自己紹介(つーか宣言)をした。
―――なんか、変なの来た―!!
「よっ、隣よろしく!!名前は?」 「…さ、沢田綱吉、です。」 「OK、ダメツナね。」 人の話聞いてねーよ、コイツ。 ツナは内心、毒づきながらも人懐っこそうな笑顔で差し出された手をさすがに無視するわけにもいかず、苦笑しながらも握手を交わした。 その様子を双眼鏡で木の上から覗き込んでいた自分の家庭教師がニヤリ、とほそく笑んでいることも知らずに……。
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