たった一人の君を探す旅

 020 ソメイヨシノ育ててさくらんぼを食べたい人生だった




020 ソメイヨシノ育ててさくらんぼを食べたい人生だった

『花見ィ??』」
「うん、君の家の近くに桜がたくさん咲いてるところ、あるでしょ。やろうよ。」

三月――

桜がヒラヒラと風に吹かれて舞い踊り、寒い冬から一変して、温かい空気が室内に流れ込む、比較的涼しく過ごせるこの季節。

学校が春休みに突入して二日目。神社のお堂の中で、略式の巫女服(寝間着)でゴロゴロしていた私をいつものごとく訪ねてきたのは、ヒバリ…とその肩にちょこんと乗った小さな赤ん坊。
珍しく群れるところに行きたいと言っているヒバリは、いつもよりご機嫌だった。何があったチキンよ。

『リボーン、ヒバリに何て言った?何を吹き込んだ?ああ゛?何で奴を釣ったんだ?教えてくださいお願いします。』

ヒバリの弱点ゲットだぜ!!

「何も言ってねーぞ。…ここらへんにいい桜があって、その土地の私有者はココの家の地主としか言ってねぇ」
『バリバリ喋ってんじゃねーか。』

ちっ、奴の弱点は見つからなかったか。なかなか尻尾を見せない野郎だ。
それにしても、赤ん坊のくせに使えねーな。

ジロリ、とリボーンを睨めばなんだ、と拳銃を突きつけられる。
オイ、コイツ本当に赤ん坊か?新手の赤ん坊詐欺じゃねーのか、これ。
…ああ、赤ん坊だから使えないのか。

「まぁいいさ。風紀委員に場所取りはさせておいたから、行くよ」
『えーだるいー体動かしたくなーいー』
「草壁が桜モチ―『OK!行こうかヒバリン。私はこの時を待っていた!!』…はいはい」

さあいこうか、と着替えようとする私の首根っこをガシッとつかみ、ズルズルと引きずっていくヒバリ。
…せめて着替えさせておくれよ。今着ている服はパジャマ兼巫女服だぜ。いまどきこんな服、RPGにしか出てこねーよ。

そんな私の願いも空しく、ヒバリに拉致され神社(家)の前の何十段もある石段によって、痛い思いをするのだった。

『ちょっ、痛い痛い!!背中すってるって!!ちゃんと自分で歩くから階段で引きずんのはやめろォォォォ!!』

…あれ、そういえばリボーンは?


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