102 どんな時も回避不可能なもんもあるさ
『あああほんとゴメン、もうゴメンとしか言いようがないわ。まさかてめーがあのカッコいいシーンで出てくるとは思わないじゃん、ヒーローは遅れてやってくるとかよく言うけど、それにしても遅すぎるじゃん、一人で頑張って解決しようとしてたのに。この話を作るのに何か月かかったと思ってんの?たいして面白くない話を一ヶ月だぞちくしょォォォォ!!!』
「何の話さ。」
『つまりあの場に居合わせたヒバリが悪い。』
「ふぅん、そう」
で、何?みたいな顔をして悪びれることも無く、ただ相槌というほどでもない相槌を打つ彼はとても腹立たしいことこの上ない。 態度はたいして変わらないものの、何か違うと私は首をひねる。たった一つ、ヒバリが大人ではなく小人に変わっ…いてっ
「誰が見た目は子供、素顔は大人だって?」
『コナンなんて一言も言ってねーだろうが、何言ってんのコイツ?!だからテメーはチキンなんだよ、なんの変哲のない鳥の雲雀さ。中途半端な野郎だ。』
「並なら本望だね、並盛の秩序の僕にぴったりだ。」
『私だって並盛だかんね!!並だからな!!!』
身長が、と付け足せば彼は平均より絶対小さい、と言い張るようなのでチキンの頭を幣で叩いた。
ぴくっと眉が面白いほどに動く。なるほど、先ほど幣で殴り飛ばした個所に当たってしまっていたのか、通りで頭に山ができてるなと思っていたら……たんこぶだったのか。
うわっ…痛そう、よく頭が吹っ飛ばされなかったよなーとしみじみ思う。下手したら骨も折れるほど私の怪力はあるはずなのに、たんこぶ程度ですむとは…こいつ、できる!!!
あれ、そういやヒバリなんか、違くね。あ…もしかして私の知らない間に髪の毛切っ…
「僕になにか言う事は?」
『ふぉい!!!???』
慌ててマルフォイを想像してしまった、びっくりさせるなよ。
「話の途中でいきなり消えたかと思えば、水の中に潜って死にかけ、挙句の果てには僕に渾身の一撃をくらわせて……何?ちひろは死にたいのかい?」
『あいどんのう!!!』
「バカじゃないの。」
『それもあいどんのうかな!!!』
そう言って彼は体制を崩して畳の上に寝っころがった。私も寝転んでヒバリの頭のもふもふを堪能していれば、ちょうどたんこぶに手が当たったらしく、バシッとはたかれた。
やっと、いつものヒバリンがきた。ひざまくらが来た。黒い抱き枕もとい布団が来た。ママンは…あんま変わんないからいいや。
『お帰りヒバリ!!!ただいまんごーヒバリ!!!』
「ただいま、おかえりちひろ」
なぜだか分からないけど、自分でもほのぼのして、ぎゅっとふわふわな彼に抱き着いた。 またたんこぶにも手を触れたけど、もう叩いたりはしてこなかった。
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