休日。
家でのんびりと仕事を片付けていると、昨晩から泊まりに来ている総司が背後からのし掛かってきた。
「どうした?」
肩に顎を乗せる総司に視線を向けて聞いてやる。
「あのねー」
「なんだよ」
「うーん」
言いづらいことなのか、総司は黙り込んだかと思うと肩に顔を埋めてくる。
仕方ねぇなぁと催促することもなく発言を待っていると、やがて衝撃的な言葉が聞こえてきた。
「あのねー、…………一回、おもちゃ…使ってみたいなー…………って」
「…………」
「…………」
「…………おもちゃ?」
おもちゃって、まさか、あの、ミニカーとか、子供が喜ぶやつのことじゃねぇよな?
「うん、おもちゃ」
「…………」
「…………」
「…………」
「………………………………ダメ?」
「いや、いいぞ。一緒に選んで通販するか?」
俺は教師である前に一人の男だからな。
良いに決まってんだろうが。
早速と言わんばかりに作っていたプリントを保存終了すると、通販サイトを立ち上げた。
「で、どんなのが欲しいんだ?」
「うーん、僕あんまり分かんないです」
「じゃあなんで欲しいと思ったんだよ?」
「うーん、気持ち良さそうだから、ちょっと、使ってみたいなって」
総司が俺にのし掛かったまま言う。
「…………俺は気持ち良くしてやれてねぇか?」
「違っ!そ、そういうんじゃないから!土方さんテクニシャ………っじゃなくて、た、ただ、興味本意っていうか、だから、その、えっと、」
そうか俺はテクニシャンか。
総司の言葉に満足して、更に総司を気持ちよくするための玩具を(ニヤニヤしつつ、それを隠しつつ)検索する。
適当なカテゴリーで絞ってみると、いかにも、というような商品がずらりとラインナップされた。
「まずは無難にバイブから買ってみるか?」
背後に向かって聞くと、総司の体温が一気に上がったのをモロに感じた。
「……まぁ、一言でバイブっつっても種類は色々あるんだが」
「う、うん……」
「これなんかオーソドックスだよな。押しつけるタイプ」
そう言ってマイク型のバイブをクリックすると、総司の体温が益々上昇した。
「ど、どこに押しつけるんですか」
「そりゃあ、お前のチン……」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!いい!いいですそんなの!」
総司は俺の肩に顔を埋め、くぐもった声で怒鳴り散らした。
何だよ自分で言い出したくせにと思いつつ、この上なく可愛い総司が拝めるのでこのまま続けることにする。
「じゃあ、こっちは?」
「な、なに?」
「コード付きバイブ。これは、中に入れるタイプだな。こっちの外に出てる部分で俺が強弱を調整して、お前を虐めるわけだ」
「き、却下!」
「…オナる時も使えるぞ?」
「お、お、お、…僕は!自分でなんかしません!」
「俺がヤれってか?」
「〜っ!!!やっぱりもういいです!!」
「おぉっと」
とうとう羞恥に耐えられなくなったのか、総司は俺から離れて逃げようとした。
が、もちろんそんな愚行を許す訳もなく、俺はすかさず総司の腕を掴むと椅子を引き、自分の膝の間に座らせて抱え込んだ。
がっしりと捕まえられて逃げ場を失った総司は、可哀想なほど真っ赤になって俯いている。
「お望み通り気持ちよくしてやっから。な?一緒に選ぼう」
「うぅ…」
耳元で囁くと、何やら呻き声が聞こえてきたが無視することにする。
「コード式が嫌なら、これはどうだ?リモコン遠隔操作式バイブ」
「ななな!?!?」
「これ、授業中に使えるよな。夜の間に仕込んどいて、学校でお前が居眠りしやがったらスイッチ入れて」
「やだ!!ぜっっったい嫌です!だいたいそれが教師の言葉ですか!?」
「ちっ……仕方ねぇ。さすがにこいつは止めとくか」
しかしいずれは買ってやろうと、一人密かに画策する。
「土方さん、これは?」
「ん?あぁ、これは中にぶっ挿すタイプだな。この棒状のところが回転して中を刺激する」
「ふ、ふぅーん」
「これがいいのか?」
「いや、そういう訳じゃ…」
「これがいいんだな」
総司の反応を見て、俺は迷わず購入ボタンを押した。
「ちょっ……!か、勝手に何してるんですか!僕はこれがいいなんて一言も…!」
「お前の態度見てりゃあ分かるんだよ」
総司は暫くぎゃあぎゃあ喚いていたが、俺が動じずに次の玩具をチェックし始めると大人しくなった。
まぁ、要するに使ってみたかったということなのだろう。
「お、これいいな。乳首クリップ。しかもバイブ機能付きだぜ?」
「!!!!!やです!絶対やです!」
「よし、買ってやる」
「は?!」
「これでたんまり乳首開発してやるよ。乳首だけでイケるようにならねぇとな」
「土方さん!!!」
クリップも購入リストに入れながら、半分無意識に服の上から総司の乳首をまさぐると、思い切り手を払われた。
照れてるんだか何なんだか、随分と可愛い反応をしやがるもんだ。
「後はそうだなぁ…ボールギャグも買っとくか?…いや、でも声が聞こえねぇのも勿体ねぇか」
「土方さん…何でそんなに詳しいんですか……」
総司が股の間で居心地悪そうにもじもじと身じろぎする。
「男だから」
即答すると、気に食わない回答だったのか、思い切り太ももをつねられた。
痛かった。
実に痛かったが、名誉の負傷ということにしておこうと思う。
「あぁ、忘れてた、尿道プラグなんかどうだ?」
「へ?」
「前を虐める時に使うんだよ。分かるだろ?」
そう言って、尿道系の玩具が並んだページを開くと、そのあからさまにイヤらしい形を見て、総司が小さく悲鳴を上げた。
「大丈夫だ、痛くはしねぇから。ビギナー向けのブジーならいいんじゃねぇか?」
「武士?」
「ブ・ジ・ィ」
ボールが連なっている形状のものや、ネジのようにギザギザしているものなど、幾つか見繕って出してやると、総司は興味津々にそれを眺める。
「どれがいい?」
「どれって……」
その困惑気味の声に、まぁ違いも分からないだろうと思って、一つずつクリックしながら総司の反応を確かめることにした。
「これは?」
「うーん…微妙」
「こっちは?」
「……」
「これもダメか?」
「ちょっと……痛そうだし……」
「んじゃこれは?」
「…………やだ」
「分かった、これにしよう」
「はぁ!?」
総司がすっとんきょうな声を上げる。
「何でイヤって言ってるのに買おうとしてるんですか!?」
「お前のイヤは、イイってことだろ?」
顔を覗き込みながら宥めるように言ってやると、総司に再びつねられた。
「いっ…てぇ!」
「僕はこれよりもっともーっともーっと痛い思いをするんですよ!?」
「んな訳あるかよ!優しくしてやるっつってんだろうが!」
総司にくれぐれも痛い思いをさせないように、いつもこれでもかと時間をかけて舐め回して、愛撫して、拡張して、愛情たっぷりに抱いてやってんのはどこの誰だと思ってんだ。
「でも!土方さんいつも止めてって言っても止めてくれないし!もう無理って言ってもまだまだって言うし!なかなかイかせてくれないかと思ったら出なくなるまでヤるし!激しいし!」
それは…………くそ、何一つ否定できねぇ。
「けどよ、お前だって気持ち良くよがってんじゃねぇか。玩具に関しては、言い出しっぺはお前だしな」
「ま、まぁそれはそうだけど、」
でも、でも、と五月蝿い総司を宥めすかす。
「絶対優しくするから、な?」
「……痛くしない?」
「多分」
「多分?!」
「…………善処する」
「な、なら、まぁ……」
「お前、案外SMとか興味あんだろ?」
「い、痛いのは嫌です!」
「嫌なのか?」
内心、お前痛いのも好きだろうがと思ったものの、口に出すと大変なことになりそうだから止めておいた。
「あとは、ついでだからローションも買い置きしとくか。もうストックがなくなりそうだったよな」
「ヤりまくってますもんね、絶倫方エロ三さん」
「なんだそりゃ」
何だかんだ言って乗り気な総司に好きな匂いのローションを選ばせ、最後にこっそりコックリングと手錠を追加してから、俺は通販を終わらせた。
「何つーか、アレだな」
「何ですか?」
「お前を虐める手順が目に浮かぶ」
「!?」
「まずお前を縛るだろ?それから催淫剤を飲ませて、服を引きちぎっ……」
「あああああああああ!!!聞こえない聞こえなーい!!!!」
慌てて大声を出す総司の耳元に、そっと息を吹き掛ける。
「でも、総司は縛られるのも嫌いじゃねぇだろう?」
意識して低めの声を出せば、何を期待したのか、総司はビクッと体を震わせた。
それを笑いながら、首筋に唇を押し付ける。
「なぁ?どうなんだよ?」
「んっ…嫌い……じゃ、ない……」
そうだよなぁとほくそ笑みつつ、前に回した手で総司の体をまさぐる。
既に固くしこっている飾りをコリコリと弄ってやると、総司は息を荒くして身悶えた。
「……ベッド行くか?」
一応聞いてみるとうんと頷いてすがり付いてくるので、俺はすぐに総司を抱き上げて寝室に直行した。
総司のお願いとあらば聞かない訳にはいかないし、ノリノリで玩具なんざ買ってしまったが、俺だけでも十分昇天させられることを思い知らせて来ようと思う。
先日土沖オフ会で某量販店のオモチャコーナーに行きまして(笑)その時妄想したお話です(笑)
いや、色々勉強になりました。ボタン押すとブブブーって動くバイブのサンプルとかあって。
玩具購入は実店舗か通販か、まぁどっちも萌えますねという結論に達しました。左之さんあたりが差し入れしてくれたり、総司にレクチャーしてくれたりするのもいいですねって。でももしそれやったら土方さん怒るでしょうねって。「俺に聞けよ!俺が教えてやるのに!」って。
なんか色々スミマセン。
実店舗の方はお友達が書いてくださるかもしれないのでものすごく期待してるところです(笑)
20131129
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