バレンタイン



「ねー先生?」

「ん?」

「付き合おう?」

「嫌だ」

「なんで」

「もう言っただろ。お前まで蕀の道を歩く必要はねぇんだよ」

「別に、そんなの僕が決めることじゃない」

「とにかくダメなもんはダメだ」

「でも僕先生のこと好きだもんね」

「一時の気の迷いだ。そのうち好きでも何でもなくなる」

「そんなの先生には分かんないじゃん」

「分かるんだよ」

「なんで」

「前例をいっぱい見てきたから」

「なにそれ。モテ自慢?」

「もう何でもいいから帰れ」

「いーやー」

「帰れよ」

「やーだー」

「しつけぇ奴だな」

「はい、これあげるから付き合って」

「なんだこれは」

「チョコ」

「……」

「有名なお店らしいですよ?」

「俺に渡してどうするんだ」

「だーかーらー、告白してるんですよ僕。付き合ってください」

「何で俺がお前と付き合わなくちゃならねぇ?」

「だって、僕先生のこと大好きだから」

「俺の気持ちはどうなる」

「え、先生も僕のこと好きでしょ?」

「…」

「否定しないんですね」

「いや。好きじゃねぇ。ミジンコほども好きじゃねぇぞ俺は」

「知ってる?ミジンコって裸眼でも見えるんだよ。先生結構好きなんだね僕のこと」

「…帰れ」

「もう男色だとか教師と生徒だとかそういうことどうでもいいじゃないですか。好きなんだから付き合ってくれてもいいでしょ?」

「しつこいって…んんっ!」

「……」

「なんだ今のは」

「キスですけど」

「下手くそ。だいたい唇ずれてたじゃねぇか」

「知らないよそんなの。これから先生が教えてくれればいい話でしょ?」

「だから俺は…!んっ!むっ……やめろ二回も!」

「先生が付き合ってくれるまで、僕何回だってするからね」

「阿呆かお前は」

「だって先生、全然嫌がらないじゃないですか」

「嫌がってるよ」

「嫌がってない」

「嫌がってる」

「嫌がってない」

「嫌がって…っんんん!!!」

「ほらね?」

「……」

「なんで?なんで付き合うのは嫌なのにキスはいいの?」

「……」

「ねぇ、なんで?ほんとは僕のこと好きなんでしょ?」

「うるせぇ。大人はズルい生き物なんだよ」

「じゃあズルくてもいいから付き合って」

「いやだ」

「付き合って!」

「はぁ……ったく、お前こそなんで付き合うことに固執するんだよ」

「先生を僕だけのものにしたいから。逆に、先生が僕だけのものになってくれるなら付き合わなくてもいい。付き合っても僕だけのものになってくれないなら、その時は殺しちゃうかもね」

「……俺はものじゃねぇぞ」

「殺したいくらい好きって言ってるのに、先生もつれないよね」

「悪いか」

「もういいよ」

「おう、ようやく諦める気になったか」

「諦めないし。ホワイトデーにお返し待ってますから」

「俺はお返しなんざしねぇぞ」

「お返ししなかったら付き合うってことで」

「……」

「因みにお返しは1日デートでいいですよ」

「断る」

「じゃあ付き合うってことで」

「……」

「ふふふ、ホワイトデー楽しみにしてます」

「……」





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