「おれたちこれから遊びに行くんだ!2人も行くだろ!?」
目をキラキラ輝かせて言うルフィくんに、エースは、あー。と曖昧な返事をした
「悪ィ、おれと名前はいいや」
「なんでだよー!」
ゴネるルフィくんに、悪い悪いと頭を撫でてあげているエース…
お兄ちゃんみたい…!!
「おれさ、今から名前に宿題写させてもらわねぇといけねぇんだ」
宿題…?
「あっ!折角終わらせたのに、集めてなかった…!」
「青雉のことだからきっと、忘れてたんだろ、頼むっ!」
顔の前で手を合わせるエースにハァ。とため息を吐きつつ、鞄から宿題の冊子を出す
「はい…」
「サンキュー!「ちょっと待った!」
「「え?」」
わたしの手からからエースへと渡ろうとしていた宿題の冊子を突然奪いとったのはナミちゃん。
「名前…、あんたまさかタダで貸す気!?」
冊子で差され驚くわたしに、ナミちゃんにあり得ないという顔をした。
「これ、名前だって時間かけて頑張ったんでしょ?」
「あ、う、うん…」
「だったら、少しくらい、報酬があってもいいんじゃない?」
ニヤリ。微笑んだナミちゃんにわたしの顔も緩む。
「まぁ…確かに…ふふ。」
「あ!おい名前!」
咄嗟にエースがわたしの肩を掴み揺すった。あまりの力強さに首がガクンとなってしまったが、頭の中はいたって冷静だ。
「ふふ…エース?」
「……。わ、わかったよ!帰りにアイス奢るから!」
だから頼む!と頭を下げるエース。そこまでされて貸してあげないわたしじゃない、笑顔でエースに冊子を渡してあげる。
「ハーゲンダッぺね!」
「え!!」
驚いているエースをよそに、もう行くらしいナミちゃん達を見送る。
「またね名前ッ!」
「うん!ありがとうナミちゃん!」
未だに、エースぅー!名前ー!と叫んでいたルフィくんはウソップくんにズルズルと引かれ連れて行かれてしまった。
二人となった教室、適当に隣同士に座りエースの宿題写しを手伝ってあげる。
「これ、合ってんのか?」
「疑うなら、自分で考えなよ」
「いや、おれは名前を信じる!」
フンッ!と鼻から息を吹き出したエースはわたしと同じ答えをまるまる解答欄に書き込んでいく。
いいこと言ってるように聞こえるけど、自分で考えるのが面倒くさいだけでしょ…。
名前に宿題を写させてもらって、おれ達は学校から近いコンビニにやってきた。
「お前何にすんだ?」
「ハーゲンダッペのストロベリー!」
「お前っ!それがどんだけ高級なもんかわかってんのかっ!?」
「……宿題」
「ぐっ…!わかったよ…んじゃおれこれ」
おれは名前の分のストロベリーと自分の分のバニラを買った。おれ達は近くの公園に行き、そのベンチに座る。
「ほらよ。」
「ありがとー!いっただっきまぁーす!」
嬉しそうにアイスの蓋を開ける名前、たかがアイスでこれだけ喜べるこいつはある意味天才だと思う。いや。たかがって言ってもハーゲンダッペだけど…。
「お前本当に幸せそうな顔するよな」
「幸せそうじゃなくて、幸せです!」
「お前の幸せその程度か!」
「悪かったわね」
「へへっ、ちょっとくれ」
「ん、バニラも頂戴」
「寒い…」
「お前なぁ、いくら春でも外でアイス食ったらそうなるだろ。」
「うぅ…風が冷たい…エースは平気なの?」
「おれは寒いのは平気だ」
ギュッ…
「うぇっ…?」
いきなり名前が抱きついてきた。
「エースあったかいねェ…」
「そ、そうか?」
「うん…。さっきは暑苦しかったけど今は最高!」
名前はおれの胸から顔を上げてそう言った。
あれ、こいつこんなに可愛かったっけ…?
確かにいろんな奴が狙ってるけど…
「…お、おう」
そう言いながら、名前の背中に手を回そうとしたら…
「エェェーースゥーー!!」
!!?
「ん?」
名前がおれの胸から離れてそちらを見た。
誰だよ!いいとこだったのに!
「おれだおれー!」
お前かぁー!!
「ルフィくんだ」
「ルフィ!お前遊びに行くんじゃなかったのかよ!」
「学校に財布忘れたから取りに来た!」
ナミにとってこいって言われたんだー!と叫ぶルフィ。
「…お、そ、そうか。おれ名前送ったら帰るから。」
「そっか。じゃあな名前ッ!」
「うん、またねっ!」
名前はルフィに向かって手を振っていた。
「じゃあおれたちも行こうぜ」
「あ、いいよ送らなくても」
「いいから乗れよ、お前おれがいないと寒いだろ?」
と手を引くと、その手はやっぱり冷たくて、さらにギュッと握った。
「あ、ありがと…」
名前は少し頬を赤くしてそう言った。
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