唯心的インスパイア! | ナノ
腹の虫は危険信号

「ねえねえねえ――――!!!」
「うっせえ容量の無駄だ蹴るぞコラ!!!!!!」

とある日の放課後。部活も終わりさあ帰ろうかという時間になって、俺の携帯に一件の新着メールが届いた。

『安部!駅前のラーメン屋いかね? エド』

どうやらエド属する空手部は既に終わっているらしく、校門のところで待っているという内容だった。
もう夜も八時を回っていて、俺の腹は空腹を訴え続けているし、俺はラーメンを食べることにした。
普段一緒に帰っている仲間たちに断わりを入れ、俺は走って校門へと向かった。するとそこにはエドの姿だけではなく、なんと名字さんまでいた。

「名字さん、今帰りなの?」
「あ、安部くんお疲れ!聞いてよ酷いんだよエド!女子高生にメアドせがまれてるっていうのに無視なんだよー!!!」
「え、そうなの?教えてあげれば、エド」
「嫌だ絶対嫌だ。」

腹の底から嫌そうな顔を名字さんに向けるエド。そんなことされたら泣き出しちゃうのが世の女子高生なんだろうけど、名字さんは・・・まあ、違うよね。

「こいつにメアドなんぞ教えたらと思うと恐ろしい」
「『朝起きたら新着メール100件来てました』みたいなのありえそうだよね。」
「ちょ、安部くんまで!そんなことしないって!さすがにストーカーはないって!」
「「・・・」」
「何その疑いの目・・・!」

そういえば、名字さんは部活入ってたんだっけ。純粋な疑問を彼女に投げかけてみると、訝しげな目線を向けられた。別に情報収集じゃねーよ。名字さんみたいにエドに近づく輩は(ryみたいなタイプじゃねーよホモじゃねーよ。

「部活はやってないよ。」
「え、じゃあなんでこんな時間まで校舎にいたの?」
「杏ちゃんの付き添いーえへ!」
「関谷は美術部だよな。なんで名字が付き添ってんだよ。」
「ちっちっち。私は杏ちゃんのモデルですよ?何ですかその口の聞き方は!」
「「モデルゥ!?」」

驚いてから、別段それほどのことでもないかと思い返す。
そういえば名字さんは美人だったんだ。喋らなければ。関谷さんが彼女をモデルに絵を描きたいと言ってもおかしくはない。喋らなければ。

「関谷ももの好きだな。」
「失礼だな!」
「まあ確かに。名字さんと喋りながら絵を描くって相当な妙技だよねえ。」
「妙技!?」

こりゃ将来大物になるぞ関谷さん。エドと二人で納得してしまった。
ところで

「なんか三人で並んで歩いてるけど、名字さんもラーメン屋?」
「だ、ちょ、馬鹿安部!!!」
「え。何々!?二人ラーメン屋さんいくの!?エドが行くならもち参戦!!」
「どうしてこうなった・・・」
「ご、ごめんエド・・・まあいいじゃない。」
「安部くんまじエンジェル!メアド教えてくれないエドとは雲泥、いや月と鼈、いや消しゴムと消しカスぐらいの差があるよ!」
「そのネタまだ根に持ってんの・・・」

そんなこんなで歩いていたらラーメン屋についた。
まあそれからは店の方にどっちの彼女だと聞かれては俺もエドも全力で否定し名字さんはエドの嫁です新婚ですとか言い出して店中を混乱させるしで色々と大変な結果に終わった。もうあのラーメン屋にはいけないだろう。

詰まる処、最終的に何が言いたいかっていうと、

ラーメンが美味しかったっていう話だ。




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