バカ、意識しすぎ


※岩鳶高校水泳部マネ主

「おじゃましまーす。」
「おー。」

本日は、水泳部のオフを利用して鮫柄学園に来ています!
水泳部の皆は残念ながら予定が合わず、私は一人で幼馴染兼恋人である凛の部屋に遊びに来ました。

「あれ、相部屋の人は?」
「あー、今日は出掛けてる。」
「へー。」

確か似鳥・・・くん、だった筈。名前が若干あやふやなので口には出さずに提示した。
じゃあ本当に二人きりなのか、ふうん。へえ。ほう。

凛の机にはほとんど物が置いてなかった。教科書すら見当たらないのは私の見間違えだろうか。彼はそのままどすんと二段ベッドの一段目に腰掛ける。部屋の奥で開け放たれた窓からの侵入者が、カーテンを揺らした。

「陸」
「はい!?」
「・・・座れよ。」
「え、ああ、はい。」

そのまま膝を曲げて床に正座する。凛が何遠慮してんだよ気持ち悪ィな、と大変勘に触ることをおっしゃってきました。
確かに私は小学校の頃から毎日の様に凛の部屋に遊びにいっていたけど、凛がオーストラリアに留学してからはずっと疎遠だった訳だし、ここに来るのは初めてだし。
何が言いたいって、

「遠慮すんなって方が無理ですよ。」
「変わったなお前、昔はずかずか人の部屋まで入って来てたって言うのによお。」
「凛に言われたくないよ。」

むう、と彼に怒気を含んだ視線を向ける。
その視線に一瞬きょとんとしてから、彼は笑った。
そんな凛の表情に安心して、私からも自然と笑みが毀れた。

風が吹いて、カーテンがなびく。

凛が手招きして私を呼んだ。それに応じて、私は縦膝をついたまま彼の目の前へと移動した。彼が私を抱きしめる。今は夏で気温も高い筈なのに、触れあった温度は何処か心地よく感じられた。

「・・・暑くないね。」
「あ?」
「夏なのにね。」
「・・・ああ。」

抱きしめられる力が強くなった。
凛はあんまり私に触れない。意外と純情で照れ屋なのだ。こうやって凛から抱きしめてくれることなんて、本当に数える位のもの。

何かあったんだろう。

遥くん程じゃないけど、凛も私と一緒にいる時は口数が少ないから。

「どうしたの?凛」
「・・・」
「久しぶりに会ったから嬉しくなっちゃった?」
「・・・ちげーよバカ」
「じゃあなによう。」
「真琴、」
「え?真琴くん?」
「随分と仲良いみてえじゃねえか。」
「え?」

抱きしめる力が弱くなった。
どうやら、最近コウちゃんから写メ付きメールが大量に届いているそうだった。
恐らく何を送っても返信しない凛への腹いせだろう。凛の携帯を見れば、そこには真琴くんと私の写真ばかりが貼り付けられていた。
コ、コウちゃん、策士だな。

「や、やきもち妬いてくれてたの?」
「・・・うっせえ。」
「可愛い」
「は?」
「凛可愛い可愛い!大好きー!」
「な、ちょ!?おま、バカ!!」

嫉妬してくれてたなんて本当かわいい!私はがばっと凛に抱きついてそのまま倒れこむ。凛が顔を真っ赤にして慌てふためく。ふふ、そんな姿も可愛い!

「えへへー大丈夫!私凛のこと大好きだから!」
「あーくそ黙れ!」
「大好き好き好きー!」
「・・・ッ!!」
「へ、り、凛!?」

攻守交代とはこういうことだろうか。いや、まだ凛の顔は赤いけど、ぐるりと視界が反転して、態勢は完全に逆になった。凛の髪が風に揺れる。

「に、似鳥くん帰ってきちゃうよ!?」
「問題ねえよ。」

ほら、お返しだ。




色んな落書きをつなぎ合わせたので構成ぐちゃぐちゃすみません


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