お弁当




※リン落ち学パロ。笑
※語尾カタカナなんて難しいアルヨー!!






「あっ!」
「お、美味イ。」


ちんぷんかんぷんな数学の授業も終わり、やっとお昼の時間がやってきた。
友達のウィンリィと机をくっつけてお弁当の蓋を開ける。
それと同時に伸びてくる手。その手はスリ師かと突っ込んでしまいたくなる様な速さで卵焼きをつかむと引っ込んでいった。


こいつは・・・


「・・・あたしの。」
「細かいことは気にしなーイ!」
「自分のお弁当はぁ?リン。」


早弁のおかげですっからかんサ。
自慢げにそんな事言われてもね。

後ろを振り向くと、ジャージを着た同じクラスのリンがいた。
彼は"体育の授業、体育着を着用しなければならない授業以外は制服で受ける。"という校則をまんまと破って、常にジャージ姿でいるので登下校時位しか制服姿を見た事が無い。


「ようし!放課後なんか奢りなさいよね!」
「はアア!?それとこれとは話が別だロ!」
「うっさい!毎日毎日人のお弁当取って・・・安いもんよ!」


私はお弁当を守る様に机に伏せる。


「なんだヨー。いつもは快くくれるじゃないカ。」
「……それは私の大好物なのです。」
「エ。」
「なんで食べちゃうのよー!!」
「そんな毎日入ってる様なのが好物だとは誰も思わんだろウ!すまなかっタ!あ、じゃあウィンリィちゃんにもらえバ?前食ったけどうまかったゾ。」


あんたは毎日私の弁当見てるくせに、
たまご焼きが入ってる回数が少ないこともわからんかったのか―――!!
ていうか・・・


「ウィンリィのも食べてるの?」
「おウ、あれは美味いゾ。」
「・・・リンの馬鹿!もうあげない!」
「エエエエ!?ごめんってミナ!ちょ、待テ!」




自分でもどうしてこんなことで怒ってるんだろうって、思う。
別に・・・また作ればいいわけだし。
だけど、だけど・・・


"あ、じゃあウィンリィちゃんにもらえバ?"



少しだけ、ほんの少しだけだけど
自惚れてた自分が、恥ずかしくなった。




「ミナ!!」
「リン・・・何よ。」


階段の踊り場。彼は息を切らして私の名前を呼んだ。


「こレ。」
「え?」


ぽん、と何かを投げられて、瞬間的にキャッチする。
ふわりと手の平に柔らかい感覚が満ちた。


「これ・・・」
「購買で買って来タ。卵焼きじゃないけど勘弁してくレ。」


たまごサンド。


「ウィンリィちゃんのを食ったっていうのハ…その、家庭科でだナ…。」
「家庭科!?」
「実習で余った卵を使って、作ってくれたんダ。班の皆ニ。」
「・・・そうなんだ。」


じゃあなんでわざわざあんなこと言うのよ。
こっちがどれだけ―――――


どれだけ


「妬いタ?」
「なっ・・・!」
「あはははははは!ありがとナ!」
「何よこのバカ皇子!」


完全に振り回されまくった。昼休みはあと何分?



「我喜歓イ尓。」
「え?」
「…なんでもなイ。」




きダ。

さーて、いつになったらミナに言えるんだろうナ。






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