弱点




※=長編主
※セントラル滞在中10巻あたり
※ちょっといかがわしい



「あ、わ、わりっ!!」
「・・・いいけど、私も悪かったし。」


夕方。特に汗をかいたとかそういう訳ではなかったが、
夕飯の前に風呂を済ませておこうとオレはバスルームの扉をひらいた。
お約束という言葉が果たしてピッタリなのかどーかは知らんが、
着替え終わった所のミナにばったりと出くわしてしまったという訳である。

これはよかったのか、惜しかったのか。


「つか、なんでこっちの部屋にいんだよ。」
「鍵かけないのが悪いんでしょー。私達の部屋はウィンリィが鍵持ってるんだけど、さっき機械鎧の人を街で見かけてね。長くなりそうだったから先に帰ってきてたの。アルは?」
「ロビーで本読んでる。もうちょいで夕飯だからな。・・・つーか」
「ん?」

なんだその格好は。

「ああこれ?洗濯物溜まってて全部洗ったんだけど、うっかり着替え分残すの忘れちゃって。大佐のお古よ、もらったの。ご飯のときには渇いてるといいんだけど。」


ミナが今纏っているのはこれこそお約束の白いシャツ一枚だ。
ぶかぶかではあるものの髪やら体やらに残っている水分によって所々透けている部分がある。シャツの下からのぞく白くてすらりとした足は何とも艶めかしい。

あんの無能大佐・・・

「ふう、あついあつい。って、あれエド?」
「へあ!?」
「・・・なんか・・・」

そういってミナが一歩ずつ近づいてくる。
な、なななななな、何だ!?
頭一個分程とはいえオレよりも身長が低いミナは近づく度に自然と目線は上目になっていく。
全力で後ずさりしたが、一歩程度で壁にぶつかる。
ミナは風呂の所為でほんのりと赤くなった顔でオレの肩に手を置いた。

「な、なんだよ!?」
「エド」
「!?うわっ」
「へ!?」

ぐっと肩に体重を掛けられてミナは背伸びをした。顔、近い。
それから逃れる様にして、オレは壁に背中を擦りながら座りこむ。
ミナはオレの行動が予想外だったのか、そのままオレの上に倒れこんだ。

「痛・・・ごめん、重かったね。」
「いや、え、あの」

ミナはもうオレの上に乗っかっている状態だ。近い、近い近い!
こんなちっちぇえ部屋にこんな態勢でいるって何かやばくねえ!?
ミナは吃驚した様子もなく、またも顔を近づけて来た。
こ、これは世に言うアレですか!?キから始まるアレですか!?

完全にテンパりつつも、視界に執拗に入って来るミナの胸元から逃げる為、
オレはぎゅっと目を瞑った。
しかし期待していた感触は一向にやって来ない。
油断した瞬間、首筋にミナの息がかかってビクリと体を震わせた。
目を開けるとミナの濡れた髪がオレの頬や首に張り付いている。
つーか、あの、当たってますけど。

「・・・エド」
「!」

再度首筋にミナの吐息がかかる。首が熱い。顔も暑い。全身が熱い。
名前を呼ばれてぞくりとした感覚が電気信号の様に体中を駆け巡る。

心臓がどきどき煩い。

「何か美味しいもの食べて来たでしょ!」
「・・・・・・・はあ!?」

バッとミナの整った顔が目の前に現れる。拍子抜けだ。

「この匂い・・・甘いもの!ケーキかな、パフェだったら許さないんだから!」
「え・・・」
「何食べて来たの?お土産は?」

相変わらず近い。ミナの腿がオレの膝の上で身じろぐ度に心臓が騒ぐ。
無邪気な顔で笑うミナに怒りを覚えるにはさほど時間は要らなかった。
『口元のが匂い強いかな、何食べてきたのよ突き止めてやる!』とミナが再度顔を近づけてきた所でオレは勢いよく立ちあがった。

「ああそうだよパフェ食って来たわどうだ羨ましいかバカミナ!!」
「ずるーい!!どうして自分だけで食べちゃう訳!?サイテー!どいひー!」
「うっせえ!!」

ほんと、何なんだほんと!!!!!




夕飯時、顔の赤みが引かないオレはアルに散々からかわれた。






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