こんにちは、世界
柚side
第一話
こんにちは、世界
『さぁーて、姫。ここは何処でしょう』
『
知らんわハゲ』
『まだハゲてません!!うわぁあああん!』
しくしく。
彼女の冷たい言葉に涙をホロリと流した。
そんな俺を見てハァと溜め息を吐いた。俺も溜め息吐きたいよ。
『僕、部屋にいたはずなんだけど・・・。そしてその気持ち悪い演技やめなよ。』
先程よりも、冷静に話す姫。
さっきまではあんなに動揺した様子だったのに。すごいな姫。クールだ。
『俺もです。そんで姫と電話してたんですけど』
気持ち悪い演技と言われて、むぅ、と口を尖らせながら、言った
『うんうん。3時に"柚とリボーンの世界にに行きたい"って唱えて・・・うん?唱えて・・・』
『唱えて成功したからここに来たんじゃないんですかねー』
キョロ、周りを見渡す。
周りにあるのは、白。それだけだ。床も壁も。むしろ壁や床がないのでしょうか、?
先程からふわふわとした浮遊感があるが、集中しなければわからない程度。
『・・・随分軽いね』
『いや?全然。むしろ怖くてちびりそうですよ』
『・・・やめてね』
『当たり前。』
ニッ、笑った。
すると彼女が困った様に笑う。
『てゆうかさ、気がついたら二次元に行く、って書いてたよね。・・・失敗、したのかな』
『あはーそうかもですねー』
『・・・軽。』
うーん、軽くないと思うんですがー。
こんな感じで意外と頭の中がぐるぐるしてるんですよ?
ただ顔に出さないようにしているだけで、本当はすごく怖い。
手が震えない様にするのだって、すごく難しいし。
プリプリ怒っている彼女の長い髪がふわり、揺れる。
思わず目を細めた。
眩しいな、彼女は。
汚れた俺とは違う純粋な瞳。
神は卑怯だと、気づかれぬように笑った。
2010.12.6 三春柚子