人の形をする少女の無言の叫び


 物を大切に扱いなさい、とは祖母の言葉。

 ビニールとプラスチックの皮膚で覆われた可愛い少女の着せかえ人形が私は大好きで、色んな洋服を着せては遊んでいた。

 あの日、私はなぜか安全ピンを持っていて、それを可愛い人形の足に刺した。ふくらはぎのあたりだったと思う。そこはビニールが薄く、ちょうど針がさせるように見えたから刺したんだと思う。

 好奇心で可愛い人形の足に刺した安全ピンの針を抜くと、そこからぷっくり、黒い液が滲み出た。その黒い液はぷくぷくと溢れだし、たらりと人形の足先まで一筋の流れを作った。

 私は慌ててティッシュでその黒い液を拭き取り、
「ごめんなさいごめんなさい」
と謝りながら人形を押し入れの奥にしまった。


2018年3月3日 第40回 お題「人形」
子どもの好奇心による、無垢な残酷さってありますよね。。。


  
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