天真少年とクリスマス

 クリスマスは誰にもやってくる、らしい。

 少年と出会うまで、そもそもクリスマスという存在自体を、自分は忘れかけていた。六百年余り生きていると、時間の感覚がだんだんと鈍るのだ。たとえば三歳の子どもが己の一年を振り返れば、それは人生の三分の一に等しい。同様に、十八歳の人間の一年は人生の十八分の一。六百歳の一年は、六百分の一だ。時の流れとは、はじめは早急、次第に緩慢になる。

「今年はみんなに何を贈ろうかな?」

 楽しそうに贈り物を選ぶ赤い服を着た少年を尻目に、犬の姿をしている自分は温かな暖炉の前でまどろんでいた。自分とは無関係の出来事。そう思っていたのだが。

「アルは何が欲しい?」

 当たり前のように少年は問うた。


2017年12月2日 第38回 お題「贈り物」
とある発明家の孫、天真少年のお仕事準備の一場面でした。


  
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