140字(twnovel) No.13
■Log ; 2013年12月17日〜31日(No.360〜386)
386.十二月の小さな島国
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385.年越しの
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384.意思確認、大事
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383.仏壇の中から
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382.ジャワの王子(未知数)
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381.ボンのカレー(辛口)
380.カレーの王子様(甘口)
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379.クリスマス休暇
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378.お父さんの仕事納め
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377.雪ん子と
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376.雨が飴なら
375.そ れ な !
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374.諦めが肝心、とは言えない
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373.後悔先立たず
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372.そういうのいいから
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371.渡せられないクリスマスプレゼント
370.ここにあるものしか
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369.乙女心は複雑
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368.ゴミの回収と死んだ金魚
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367.答えのないこと
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366.シッポの恩返し
365.言霊
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364.滅亡ロボット博士
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363.重いし暑苦しいから
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362.溶けろクリスマス
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361.殺人並の眠気を
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360.追いかける祖父
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【追いかける祖父】
おい、おーい!
くも膜下で倒れてから、祖父の身体の右半身が麻痺して動きが悪い。言葉もうまく出てこない。
そんな祖父に遊んでもらっているものだと、小さな姉妹は転がるように駆けていく。
だがそっちには道路がある。
おい、おーい!
祖父は足を引きずり、懸命に呼び、追いかける。
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【殺人並の眠気を】
最近、私の元へ訪れる睡魔は物腰柔らかく、真綿のような眠気を誘う。しかしそのせいか、1〜2時間ですぐに目が覚めてしまって困る。昼寝をするくらいなら、ちょうど良いのだけれど。夜は容赦ない暗殺者みたいに、首の後ろをトンッとされて朝まで気絶するような眠りが恋しい。
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【溶けろクリスマス】
クリスマスを滅ぼすためワタシ作られたネ。
カタコトの可愛い外国人に、僕たちは肩を叩かれた。
サンタの格好をしてバイトしていた仲間と、変な子だったよね、と話していた帰り道。
降り出した雪に濡れた手が、溶け始めた。
まるで人の体温で雪が溶けてしまうように。
( #聖なる滅亡 へ提供)
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【重いし暑苦しいから】
運命の赤い糸だと見失いそうだしすぐに切れてしまいそうだから、私のは運命の赤いマフラーにした。
長い長いマフラーの先に、私の運命の人が待っているはず! だったのに。
「ごめん、重いし暑苦しいです」
グルグルに巻かれた赤いマフラーが、地面の上に置かれていた
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【滅亡ロボット博士】
クリスマスを滅ぼすために、滅亡ロボットを試作した。
人間を精神的に追い詰めたり、肉体的に消滅させたり出来る。
ロボットの目とリンクしたモニターに映る人間のクリスマスムードに緩んだ顔が歪んでいく様子を、シャンメリーを飲みながら楽しんでいる。
( #聖なる滅亡 へ提供)
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【言霊】
言葉には力があり、それを言霊(ことだま)と言う、と先生が話す。
僕は数学が大嫌いで、毎日「嫌い嫌い」と言い続けていたら、勉強をする前に「嫌い」と言うのを止めなさい、と言われた。
口から出た言葉が、必ず聞こえるのが自分の耳。
僕の言葉が、僕を数学嫌いにしていると。
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【シッポの恩返し】
あの日、縫い付けてもらったシッポがパタパタと揺れる。
期待と不安。
どんな時でも、俺の心臓の鼓動に合わせたメトロノームのように、左右均等に振れる。
さあ、今度は俺の番だから。
出来上がった発明品を、お世話になったあの人の元へ。
シッポのお礼をしに行きたい。
( #天真助手 の話)
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【答えのないこと】
追いかけた時、既に階段の下にいた。
スカートの中が見えるよ、と口の端を上げて言われる。
偏屈だがストレートな物言いに、恥ずかしさや憤りよりも、哀しさが先に出た。
私は引き返して姿を消せばいいのか、それとも階段を降りて引き留めた方がよかったのか。
正解は、今もわからない。
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【ゴミの回収と死んだ金魚】
毎朝、ゴミ収集車がやってくる。家庭から出た様々なゴミを決まった曜日、決まっ時間に回収に来る。その日常的な出来事の中で、我が家でずっと生きて、昨日死んでしまった金魚のキンちゃんも、それらと一緒に回収された。うちには埋めてあげる庭が無いから、と母に言われたのけれど。
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【乙女心は複雑】
今日で2学期が終わって明日から冬休みで、しかもクリスマス・イヴだし。
みんな浮かれてるんだけど、明日からあの人と会えなくなるから、私は寂しい。
言わないし、言えないけど。
「写真撮ろうよ!」
カメラを向かってVサイン。
やだ。Vなんてしたくない。いらない。
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【ここにあるものしか】
努力や才能やお金があれば、何でも手に入る?
いいえ、そんなことはないわ。
手を伸ばして、届かないものがある。
欲しいと願っても、手に入らないものがある。
ここにあるものしかない。
ここにあるものしか愛せない。
だからあなたには、ここにいて欲しいの。
( #世界もっと愛したい協会 へ提供)
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【渡せられないクリスマスプレゼント】
クリスマスが終わって、雪も止んだ。
少し積もった雪を手で丸めて、二つ重ねる。
小さな雪だるま。
それを会えなかったあなたに見立てて、渡せなかったプレゼントを置く。
もう何年こんなことをしてるかな。
雪が積もらない年は、あなたの写真に。
届かないプレゼントの前、今年も両手を合わせる。
(#聖後祭 へ提供)
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【そういうのいいから】
元恋人がサンタクロースの格好をして、私の部屋に現れた。
「メリークリスマス! プレゼントは俺だよ☆」
合鍵は渡していなかったから、怖くなって通報して、そのまま連行されるのを見届けた。
クリスマスが終わった今日は、鍵屋さんと過ごす予定です。
(#聖後祭 へ提供)
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【後悔先立たず】
クリスマスに彼女にフラれて、失恋酒を煽っていたら隣に座ってきた美人のお姉さんに介抱されて……
今朝、ベッドの上。頭が痛い。隣のお姉さんの、顎や口の周りにうっすらヒゲが……頭を抱える。頭が痛い。サンタさん、まだいたらお願いします。時間を昨日に戻してください!!
(#聖後祭 へ提供)
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【諦めが肝心、とは言えない】
センスを磨くのを怠っていたら、すっかり鈍って錆びてしまった。何をやってもイマイチ。メイクも服選びも。このまま女を捨てちゃダメ! と心を入れ替えて、再びセンスを磨こうとしたけど。
さてさて、どう磨いてたっけ?
すっかり忘れてしまい……まぁ、いっか。このままで……いやいや!
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【そ れ な !】
サンタさんにお願いしたのは、一緒に初詣に行けますように。
初詣に行ったら神様に、天の川を一緒に見れますようにとお願い。
七夕になったら、クリスマスをまた一緒に過ごせますように、お願いするの。
「全部同じ願い事か。そんなのサンタや神様にじゃなく、直接言いなよ」
(#聖後祭 へ提供)
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【雨が飴なら】
私も雨なんてキライ。
そう願った雨女の願いを叶う。
クリスマスの翌日から、雨は飴に変わった。
すると雨が嫌いな君が、ご機嫌な笑顔でやってきた。
ねえ、デートしない?
こんな飴の降る夜に迎えに来てよかったかな?
傘にあたる飴粒を、ひとつ。
手に取って口に頬張って。
( @AnaiAkino さんの #一文 より)
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【雪ん子と】
また雪が降ったら遊びにくっから。
去年の冬、じぃさんの山で会った雪ん子と約束をしたけど。冷たい雨はいつまでも雪には変わらない。
なあ、雪ん子。今年は会えねえのかな。
窓から山ばかり見る俺の頭に、じぃさんのぶ厚くて重たい手が置かれる。じぃさんは何も言わない。
( @oto_no_ya さんの #一文 より)
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【お父さんの仕事納め】
クリスマスが終わって、夫が帰ってきた。
おかえりなさい、今年もご苦労さまでした。
仕事納めをして寛ぐ夫に、子供たちが駆け寄る。
お父さん、今年はどんな所までソリを引いたの?
今年はね、と夫が優しく語り始めた。
将来、父と同じ仕事を目指す子供たちは、目を輝かせながら話に聴き入る。
(#聖後祭 へ提供)
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【クリスマス休暇】
私はクリスマスにプレゼントは何もいらないから家族と過ごしたい、と長年密かに思い続けていた。
そして去年、私の仕事を息子が継いだ。
今年のクリスマス休暇は、息子の嫁が孫たちを連れて何日も遊びに来てくれている。
何十年振りに家族と過ごせる特別な日を、息子が私に与えてくれた。
(#聖後祭 へ提供)
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【カレーの王子様(甘口)】
カレーの王子様が現れた。
「迎えに来たよ、プリンセス。さあ、お城へ行って、いつまでも幸せに暮らそう!」
「王様、お妃様はご存命ですか?」
「ああ」
「お城で同居ですか?」
「もちろん!」
「ご兄弟は?」
「姉と妹が一人ずつ」
「お断りします」
この王子様、私には甘すぎる。
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【ボンのカレー(辛口)】
「そんなことも出来んのか」
涙目の私から包丁を奪い取った彼は、見事な手際で玉ねぎをみじん切りにする。
「飴ちゃん色になるまで、よう炒めや」
彼は老舗料理屋の倅らしく料理の腕は抜群。カレーでさえ、スパイスの調合から手を抜かない。
「ボンのカレー、好きだよ」
「なんや急に」
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【ジャワの王子(未知数)】
オリエンタルな瞳に見つめられて、私は息を飲んだ。
言葉が通じない異国の地。
置き引きにあってパスポートも失い、困っていた私を彼は助けてくれた。
一目惚れだった。
でも警鐘が鳴る。
彼を好きになったら……
これ以上踏み込んでは……
そう、彼はこの国の、彼はジャワの若き王。
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【仏壇の中から】
たまに子供や孫たちがドッとやってきては、菓子折りなどを供えられ、手を合わされる。
神様でも仏様でもないから、願い事をされてもちょっと困るんだが。
会えなかった日の間の報告は楽しみだ。
小さかったひ孫が、どんどん成長してゆく姿も。
またおいで。燻らす線香に、想いを込めて。
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【意思確認、大事】
良い武器と防具を揃えて。ケガをしたり、毒にあたったりしても大丈夫なように、傷薬や毒消しもたくさん調合した。急に帰りたくなった時は、この羽を使えば元の場所に帰れる。準備は万端。
「よし、行こう!」
「いってらっしゃい!」
「え?」
私は冒険家より、道具屋がいいの。
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【年越しの】
細く長く生きれますようにと、私は蕎麦をすする。
あなたは太く長く生きれますにと、饂飩をすする。
人生に波があっても構わないから自分を貫きたいと、息子は中華麺をすする。
軽くて透き通った人生を長く生きたい娘が、春雨をすする。
除夜の鐘の音のように、家族のすする音が響く。
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【十二月の小さな島国】
一週間前までのキラキラしたクリスマスの飾りは、厳かなしめ飾りへ変化していた。
食べ物もローストビーフやケーキから、茹でた蟹や口取りへ。
同じ場所にずっと住んでいるのに、時期によって国ごと変わっているみたいだ。
ここは多種多様な文化を寛容に取り入れる、少し変わった島国。
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