スノードーム

 水かさが増した窓の外の景色は、スノードームを見ているような気持ちだった。本来であれば、もっと真剣にここからどう切り抜けるか考え、実行しなければならないのに。

 昨日、彼女から水族館へ行ったお土産のスノードームをもらったからだろう。思考がそこで止まったまま。窓の外でプラスチックのイルカのように、彼女と、一緒に水族館へ行ったヤツが、水中を漂っているのを見えるけど、何も考えられない。悲しいとか、助けたいとか。むしろ今日もふたりが同じ場所にいることに苛立っていた。こんな状況なのに。

 ミシミシと、窓枠が音を鳴らす。もうじきここも水の中。スノードームの中の世界へ行けたら、自分はイルカ以外のものになりたいと願う。


2017年6月3日 第33回 お題「かさ」
スノードームは綺麗でどこか残酷。


  
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