天真少年とアイス・ブロッサム

 依頼があれば、まず断わらないのが流儀。そう言っていたのは彼の祖父だった。

「なんつーか、俺もその血を引いてる? みたいな? プロフェッショナル的な?」

 鼻の下を指でこする少年。彼に話しかけられた相棒、シュナウザーに似た灰色の犬は、退屈そうに欠伸をする。

「氷の女王が育てる≪アイス・ブロッサム≫なんて、まあ一般の? パンピーには冷た過ぎて触れないけど? 俺の発明品【ありのままでも少しも寒くないよ手袋】のおかげで? こうやって依頼主の元まで無事に運べる? みたいな?」

 分厚い手袋をはめた少年が持っている、蓋付きの氷の花籠。その中で、朝陽に煌めくダイヤモンドダストが幾重にも連なり結晶化した、一輪の美しい花が咲いていた。


2017年2月4日 第29回 お題「氷」
版権スレスレでイラっとする天真少年のお仕事風景。


  
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