140字(twnovel) No.11

 
■Log ; 2013年11月後半(No.302〜330)

330.切断する日常とは/329.労わる子/328.言葉の氷/327.誰かの得は誰かの損/326.早起きは三文の得/

325.あいうえお滅亡〜わ行/324.あいうえお滅亡〜ら行/323.あいうえお滅亡〜や行/322.あいうえお滅亡〜ま行/321.あいうえお滅亡〜は行/

320.あいうえお滅亡〜な行/319.あいうえお滅亡〜た行/318.あいうえお滅亡〜さ行/317.あいうえお滅亡〜か行/316.あいうえお滅亡〜あ行/

315.矛盾/314.かぐや姫の債務/313.天使と悪魔/312.何かが変/311.カタカナワカンナイ/

310.餃子で喧嘩/309.ハヒフヘホとドキドキちゃん/308.現実的な巨人/307.息子はコタツ/306.人間ホイホイ〜コタツver./

305.理想のコタツ/304.コタツの精/303.White Love/302.ハンドクリームと女子力/


 
【ハンドクリームと女子力】
ハンドクリームの季節。病院から処方された容器が白くてでかいハンドクリームは、効果が非常に高いが女子力は低い。
香り付きで容器も凝っているハンドクリームは女子力が高い。
らしい。
そんなの、知らなかった。
だから母がくれた薔薇の香りのハンドクリームを、僕が使う時の反応が…


【White Love】
この愛に色を付けるなら、あなたには白を捧げる。白を見る度に、あなたは愛されていると感じてくれたら。どんな些細な白でも良い。白い花、白いご飯、白い歯。すべての白が、あなたのために存在していると。もうすぐ降る雪の季節だって、あなたへの愛が降り積もったものになるよ。


【コタツの精】
人間たちがぬくぬくするコタツ。その中央部では、コタツの精たちが汗だくになって熱量を作っていた。狭い金網に囲まれた空間を、走って走って走りまくる。途中で倒れた仲間は背負って走り続ける。自分が倒れると、今度は仲間に背負われて走り続ける。だからコタツは、こんなに熱い。
(#twnvday へ提供)


【理想のコタツ】
体の芯から冷えるほど寒い外から帰ってきても、明かりの点いた家に入るとすぐに、あったまる。
「もう、すぐコタツに入るんだから。ミケと一緒ね」
みかんに手を伸ばすと、もうすぐご飯だからね、と釘を刺された。ミケとコタツでゴロゴロしてる間に、熱々の寄せ鍋を食卓に並んだ。
(#twnvday へ提供)


【人間ホイホイ〜コタツver.】
新たな人間ホイホイが開発された。
コタツとみかんと、おばあちゃん。突然、目の前に現れたコタツに驚くも、柔和な顔のおばあちゃんに「ほれ、入り」と言われみかんを手渡されると、なぜか素直に入ってしまう。
コタツは掘ごたつに見せかけた、深い深い穴。おばあちゃんは笑っている。
(#twnvday へ提供)


【息子はコタツ】
四本足でハイハイしていた息子が、ようやく立った瞬間、息子はコタツになった。意味がわからなかった。取り乱して仕事中の夫に電話すると、夫はすぐに帰宅して私を抱きしめた。コタツは最初からコタツだった、と。息子はもういないんだ、と。体がどんどん冷えていく。
(#twnvday へ提供)


【現実的な巨人】
朝起きたら、体がおっきくなっていた。3メートルくらいか?鏡が小さくて、よくわからない。服がどれも小さく着れなくなっていたので、カーテンを体に巻いてベランダから外に出た。とりあえず、服を買ってから病院へ行くか。それまでに、公然わいせつ罪で捕まらなきゃいいけど。


【ハヒフヘホとドキドキちゃん】
いつもイタズラばかりしているあの子たち。でもみんながキライだから、イタズラするわけじゃないのよね。自分の気持ちに正直すぎるだけ。遊びたい時に遊んで、食べたい時に食べる。大丈夫よ。みんなも昔そうだった。さあ、焼き上がったお菓子は、みんなより先に持って帰りなさいね。


【餃子で喧嘩】
捏ねくり返した意見と肉の塊。それをオブラートのように薄い小麦粉の皮へ乗せていく。これ以上の話し合いに意味はない。筋の無いミンチ肉は、塞いだ耳に似た形に包んで、熱い鉄鍋の上へ。焼き上がったそれを食べながら、餃子の包み方で喧嘩するほど馬鹿らしいことはないなと思った。


【カタカナワカンナイ】
「今朝はエッグベネディクトしか食べてないのー」
「へぇ。絵の具みたいな名前だね」
「今度のデート、ダッチベイビーがあるところがいいなー」
「それはブッシュベイビーの親戚か何か?」
最近付き合ってた彼女は同じ国籍のはずなんだけど、時々何を言っているのかわからなくて別れた。


【何かが変】
今日は何か変な感じ。朝の星占いは1位だったのに、体調は悪いし仕事も失敗ばかりで、相性が良い星座の彼ともすれ違い。夜までずっとそんな感じで、自販機で買ったコンポタを公園のベンチで飲みながら、夜空を見上げた。星が綺麗…でも何か変。カシオペア座が、南の空に見えてるよ?


【天使と悪魔】
天使を拾った帰り道、悪魔が段ボール箱に捨てられていた。
「拾ってはいけませんよ」と天使。
「けっ。テメェなんかに拾われなくても俺は平気だぜヘクション!」と悪魔。
僕は拾った天使をその段ボールに入れて、悪魔をすくい上げた。君は、また誰かが拾ってくれるさ。
(@oto_no_ya さんの #書き出し より)


【かぐや姫の債務】
姫、債務が残っておるぞ。
月へ還る日、竹取の翁からかけられた言葉。
私の債務とは。
翁に育てて貰った恩返しか。
夫を取り、子を成さなかったことか。
このままでは罪人となり、訴訟を起こされるのか。
しかし月は遠い。
判決が出るのは、おそらく千年後。
ならば、私は月へ還ります。


【矛盾】
本を作るために、木を伐採した。皮を剥いた木を細かいチップにして、そこから取り出した繊維を綺麗にして、漉いて伸ばして乾燥して。完成した真っ白な綺麗な紙に、本の題名を書く。【木をたいせつにしよう】


【あいうえお滅亡〜あ行】

あなたに会って 

いい事ばかりと 

浮かれてた私の 

延髄にめがけて 

大回転踵落とし

(#あいうえお滅亡 へ提供)


【あいうえお滅亡〜か行】

完璧な一打撃で 

気を失った私を 

クククッと笑う 

計画は始まった 

ここからが本番

(#あいうえお滅亡 へ提供)


【あいうえお滅亡〜さ行】

晒しあげるわよ 

仕様がない女の 

素の部分を、と 

背中のチャック 

そこは、ダメ!

(#あいうえお滅亡 へ提供)


【あいうえお滅亡〜た行】

他人のアナタに 

チャックの中身 

追求されるなら 

手はひとつだけ 

と、体を捨てる

(#あいうえお滅亡 へ提供)


【あいうえお滅亡〜な行】

何なのよコレ? 

ニタニタ笑って 

ヌルヌルする私 

ねえ。私の中身 

覗いちゃったね

(#あいうえお滅亡 へ提供)


【あいうえお滅亡〜は行】

走って逃げても 

ヒュッと掴まえ 

不敵に笑った私 

平気よ。痛みも 

本当すぐ消える

(#あいうえお滅亡 へ提供)


【あいうえお滅亡〜ま行】

まず中身を抜き 

ミンチ状にして 

無駄なくまとめ 

滅亡の種を一粒 

桃色球体に埋め

(#あいうえお滅亡 へ提供)


【あいうえお滅亡〜や行】

軟らかな殻の中 

ゆっくり丁寧に 

よく詰め戻して

(#あいうえお滅亡 へ提供)


【あいうえお滅亡〜ら行】

来週にはきっと 

両手足の先まで 

類友だよ私たち 

恋愛対象へ次は 

ロックオンして

(#あいうえお滅亡 へ提供)


【あいうえお滅亡〜わ行】

輪を広げてゆく
 
をかしな仲間を 

んーと殖やすよ

(#あいうえお滅亡 へ提供)


【早起きは三文の得】
月曜日の朝から寝坊するなんてツイてない。寝癖はついたまま、朝ごはんは珈琲だけ。着替えてすぐに家を出て、まだ朝靄が残る道を走る。登校時間にはまだまだ早いんだけど。朝一で来るバスの、後ろから三番目の座席に必ずいる彼女。乗車する時に目が合って、会釈する仲になれたから。


【誰かの得は誰かの損】
人の役に立つ仕事がしたい。自分の時間と命を削って削って、誰でも無料で利用できる施設を作ったら、似たような事業をしている団体からクレームが来た。そんな事には耳を貸さずに施設を増やしたら、感謝の声が聞こえてきた。ありがとう、命が救われた。でも自分の命が狙われている。


【言葉の氷】
おはよう、と白い息で吐き出した言葉がそのまま凍って足元に落ちた。さむい、ねむい、だるい、いきたくない。足元に広がる真っ白な言葉の氷を、街の人たちは無言で踏み潰し、汚していく。でも「おはよう」と「ありがとう」は、なんとなく原型を留め、朝陽の熱で静かに溶けていた。


【労わる子】
うずくまって唸る母の背を、小さな手が一生懸命に撫でる。労る言葉をまだ知らない幼子。しかし物事の分別はついていた。普段なら、お馬遊びをしてくれるものだと喜んでその背に跨がるのだが、今はその欲求を抑える。そして苦しんでいる母の背を、ただただ撫でていた。


【切断する日常とは】
爪を切り、髪を切って、僕たちは、日常的に、色んな物を、切るもんだから、縁を切ることや、人を切ることも、同じ日常の中に、含まれているんじゃないかと、思うんです。

言葉を切りながら淡々と話す容疑者の「日常」とは何なのか。少なくとも、私の知っている日常とは程遠い。




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