140字(twnovel) No.6

 
■Log ; 2013年9月後半(No.131〜168)

9月後半〜
168.幸せになってほしい人/167.戦う神父様/166.キラキラ

165.裏も表も/164.永遠の17歳/163.朝は来る/162.先生と私の円/161.単純がいい

160.一枚の結婚記念写真/159.最後にペアになったのは?/158.100%は伝えられない/157.毬藻?/156.比喩禁止法

155.妖怪・足舐め/154.僕の本棚/153.脳内野党2/152.脳内野党/151.まずは見た目から

150.ネタが迷子/149.夢のような景色/148.君がいれば/147.滅びのポップコーン/146.回遊魚のような彼女

145.倍返し/144.死に至る病/143.夢売り/142.汽水域の時間帯/141.一日太陽/

140.夢と現実/139.秋の香り/138.君は、怖くない/137.絡まった縁/136.祖母の手

135.初恋の味は?/134.自分洗濯日和/133.月より流星/132.綺麗な環/131.中秋の名月


【中秋の名月】
台風一過。
今朝までの分厚い雲や吹き荒れる風が嘘のように、いまは明るくて静かな #月夜 を過ごしている。まるで昼夜が逆転したかのような変わりよう。
ずっと頭が痛くて怠いと寝ていた君も、ケロッとした顔でぼくと一緒にお団子を食べている。気分も逆転したみたいで、良かった。
(#月夜 へ提供)


【綺麗な環】
明後日は中秋の名月。満ちてく月を眺めても、満たされない思いにため息が漏れる。「月が綺麗ですね」なんて聞きたいわけじゃないの。

ため息ばかりつく君は、まるでお伽話のお姫様。でも満月の日に現れるのは使者ではないよ。君の指にピッタリな、綺麗な環を準備してる僕。
(#月夜 へ提供)


【月より流星】
今日みたいな #月夜 は明る過ぎて、星が少し見えにくい。
だから街から離れて、波の立たない湖のほとりで空を見上げる。
わぁっと君は歓声を上げて、大きな口を開けて星を見る。
月に負けないほどの星の輝きが、次から次へと流れていく中、「また見れますように」と願い事を呟いた。


【自分洗濯日和】
今日はとっても洗濯日和。服はもちろん、背中のチャックを開けて私の外側も洗濯機へ。
ゴウンゴウンと回る水は、泥水のように濁る。キレイな水で何度かすすぎ、ぎゅっと絞って秋空の下へ。
隣の奥さんが、物干し竿に吊された私を見てギョッとしてるけど、大丈夫です。通報しないで。


【初恋の味は?】
初恋の味がするキャンディを食べたけど、全く味がしない。甘みも苦みもなく、かといって味気ないわけでもなくて。
試しに周りに食べさせてみたら、あの子は甘酸っぱい、この子は少し苦いと言う。やっぱり何らかの味がするはずなんだけど。
「ところで君、恋したことあるの?」「いや」


【祖母の手】
細い細い腕が伸びる。しわしわだった祖母の手は骨と皮に近くなり、つるつるとしながらもゴツゴツした感触に近かった。
7回目の干支が巡り、髪の毛は真っ白になってはいたが、綺麗にきりそろえられている。今までと変わらぬ笑顔で言葉を交わして、手を握り、その温もりを染みつける。


【絡まった縁】
叶わぬ恋をしてたと言った。
親同士が話し合い、見合いで結婚するのが当たり前だった時代。若い娘が、恋をしないはずなどない。でもその恋が実っていれば、父も私も存在しない。
堂々巡りのように絡まった縁が引き寄せられて、私たちは家族になったのだろうか。


【君は、怖くない】
月が綺麗な夜でも、羊の皮を被った狼は鳴かない。もふもふの羊たちの温もりを、失いたくなかったからだ。
でも狼の本能が理性を超える。自制がきかない自分へ、負け犬の遠吠え。
これでまた孤独な暮らしが始まると思っていたのに、羊たちは誰も逃げなかった。
「狼の、君は、怖くない」


【秋の香り】
秋の香りがどこからかやってくる。
たぶん雲の上。高いところに広がる秋刀魚雲が夕陽に炙られて、パチパチとこんがり美味しく焼けた。秋刀魚雲は俄雨のように降り出して、みんなお皿を両手に持って外に出る。ついでにすだちもお願いすると、雷を落とされてしまった。
(@Gomappp26 さんの #書き出し より)


【夢と現実】
今朝はなかなか起き上がれなかった。
夢の中ではちゃんと起きて、朝ご飯も作ったのに。目が覚めて、何もせずに布団の中でぬくぬくしていただけという事実に愕然とする。
少し戻ってやり直し、と人生ゲームをしている気分になるけど、今度は卵焼きを炭にしてしまう心配が無かった。


【一日太陽】
今日は満月です。いつもよりも明るい月なので、太陽系推進委員会は、月を一日太陽に任命しました。
いま見えている太陽のようなものは、実は月です。もちろん日没して太陽の役目を終えた後、月は本来の役目も果たします。
24時間の激務の後、月はだんだんやせ細っていくでしょう。


【汽水域の時間帯】
海水と淡水が混ざる汽水域のように、午前3時から4時の間は寝る人、起きる人、その中間にいる人たちが入り交じる。おはようございます。おやすみなさい。深夜とも早朝ともつかないその時間帯は、夢を見ることもなく、ぷかぷかとした薄味の意識が浮き上がっている。


【夢売り】
求人広告を見ていると、夢売りという職種があった。時給720円。夜の仕事かと思ったけど、時間帯は10時から18時まで。社会保険もついている。どんなものかと、履歴書を持って面接へ行くと、電気椅子のようなものに座らされた。
「あなたの夢は、人が見ても楽しいものですか?」


【死に至る病】
恋の病は従来、不治の病と言われてきました。しかし医療の画期的な進歩により新薬が開発されました。一日一錠、飲めば効く。効能は人それぞれですが、発熱や動悸といった症状を抑制します。用法、用量を守って…
「もっと薬を増やそう、致死量にはまだ足りないわ」
(@rine_ushioda さんの #締め より)


【倍返し】
「倍返し」がはやっていたので、誕生日プレゼントをあなたの時に倍返し。愛の告白も倍返しした。
喜んでくれると思って頑張ったのに、あなたの私に対する気持ちは半減。
「なんか重い。君とは対等なままでいい」

本当は、倍倍返しをしなきゃならないプレッシャーが重いんだけどね。


【回遊魚のような彼女】
彼女は泣いてばかりいた。そのたびに僕は出来るだけ優しく話しかけた。
元々、回遊魚のようにエネルギーに溢れて、止まったら腐ってしまうような人だから、あまり休ませず、でも無理させず。悠々と泳げる場所をようやく見つけ、僕は手を放した。
力強く大海原を泳ぐ、君が好きだよ。


【滅びのポップコーン】
黒いとうもろこしの実を食べた後、体温が一定以上に温まると、ポップコーンのように身体が弾けて膨らんだ。
走っている一汗かいた。ポン。
君に好きと言われた。ポン。
ポンポンポン。
膨らまなかった人たちも、それらに挟まれ潰れて弾けた。ポン。
(#世界もう滅ぼしたい協会 へ提供)


【君がいれば】
今度の旅行はどこへ行く?プーケットでリゾート気分を満喫しようか。ハワイやバリもいいね。でもどこへ行くにしても、ご飯が美味しいところがいいな。一緒にご飯を食べる君がいれば、僕は何でも美味しく感じるから、行き先は君の行きたい所にしよう。
(#世界もっと愛したい協会 へ提供)


【夢のような景色】
メルヘンチックな気分になりたくて、夢の国へ行こうとしたけど、チケットが手に入らなかった。みんな、現実から離れた場所へ行きたいのらしい。
仕方ないので、家の近くの山にある花畑へピクニック。夏が終わってもまだまだ百花繚乱で、山肌いっぱいの花畑は、夢のような景色だった。


【ネタが迷子】
小説のネタが迷子になった。ネタを探す気力が逃げ出した。
ネットに繋がる無線の電波も行方不明になり、残ったのは書きかけのノートとペンと僕だけ。これだけは残っていれば問題無い、と言われるかもしれないけど。自信も喪失している僕は、ノートを閉じない気持ちだけを取り戻す。


【まずは見た目から】
鏡とはあくまで真実をうつすものである。
「鏡よ鏡」
いくら顔を変えて、可愛いドレスを着られても、この違和感は拭えないものなのです。
「この世で一番美しいのは誰?」
「白雪姫です」
「まあ、私のことね?」
「白雪姫のコスプレをしたお妃様はただのイタイ」ガッシャーン!
(@seruvo さんの#書き出しより)


【脳内野党】
ついに述べる日がやって
「いやいや、その書き出しから始めるのは何番煎じだかわからないだろう」
「そうだそうだ!」
脳内野党が、今日も元気よく野次を飛ばしてくる。ならば仕切り直しをしよう。
ついに延べ面積が
「何の話だ。捏造か?」
「いい加減だ!」
創作で捏造するなと言われても。


【脳内野党2】
最近、脳内野党が五月蝿い。夏が終わって涼しくなってきたせいか、元気良く勢力を拡大し始めた。
我々が与党になった日には!と内頭演説も始まって、朝から夕方まで耳鳴りのようにワンワンする。
だから今日は一日中寝て、やり過ごす。さすが脳内野党。休むとすぐに静かになった。


【僕の本棚】
僕の本棚には、あまり本が置かれていない。太宰治も川端康成もない。
でも僕が書いた物語のノートは、たくさん並んでいる。10冊、20冊と増えていく。
大した厚さじゃないし、内容もノートと同じくらい薄っぺらいかもしれないけれど、これだけは誰かから借りることが出来ないんだ。


【妖怪・足舐め】
足先が冷たいと、妖怪・足舐めがやってくる。生温い舌先で足を舐めて血行を良くしてくれるので、悪い奴ではない。ないけれども。
好みの人間の足を舐めたいがために、わざと毛布をめくってしまう時がある。そうならないようにと寝る時に靴下を履いたら、足舐めは現れなくなった。


【比喩禁止法】
王様は悩んでいた。息子の王子は頭が良いが、恋愛は奥手。
「月が綺麗ですね」「あなたの作ったみそ汁が毎日飲みたい」
王子の遠回しな愛の告白に、次期王女はキョトンとするばかり。
なので決断するしかない。
その日、王子のためだけに比喩禁止法が施行された。
(@hyuugahikage さんの#締め より)


【毬藻?】
昨日まで思い浮かんでいた話のネタが、今朝見ると腐っていた。冷蔵庫に入れ忘れたのが原因らしい。緑色の藻の塊みたいになってしまって。とりあえず洗い流そうと水の中にいれたら、毬藻みたいになったので、そのまま瓶の中に移して部屋に飾った。ちょっと摩周湖に行った気分。


【100%は伝えられない】
あなたに贈る言葉を考えている。どう伝えれば、受け取ってもらえるのか。
メールを打ったり、手紙を書いたり、方法を考えたけど、どれも100%は伝えられない。
だってあなたと私は同じ人間だけど、違う心を持っているから。せめてこの気持ちの半分でも伝われば、好い感じかな。


【最後にペアになったのは?】
4人でやってきた遊園地。女女、男男、男女とペアを変えながら、様々なアトラクションに挑戦。
笑って笑って、時には怖くて泣いて、閉園時間が差し迫る。最後にペアになった相手が、実は本命。つまり彼らは、彼女らは。
黄昏時の遊園地には、魔物が住んでいる。
(@tensyou99 さんの#締め より)


【一枚の結婚記念写真】
両親が並んでいる姿を初めて見たのは、押し入れの整理をしている時に見つけた結婚記念写真だった。白いタキシードと、白いウェディングドレスを来た若い男女。埃が被ったアルバムも一通り見たが、結婚式以降の二人の写真は一枚もない。だから私はそのままそれを、ゴミ袋に捨てた。

【単純がいい】
結婚とは謎。
少しずつ謎解きしてみたけど、わからないものは、わからない。男女の関係も、親族の繋がりも複雑過ぎて。
過去ばかり追いかけても未来がないので、匙を投げる。ポーン。
飛んでいった匙が、いつか我が子にぶつからないように家を出る。
結婚なんて、単純がいい。


【先生と私の円】
先生の伴奏を聴きながら、円を描く。大きな円。小さな円。少し歪んだ円もある。横にちょっと伸びたこれは、魚を狙う海猫の鋭い目。ポーン、ポーンと軽やかでポップな音は、先生がいる音楽室から私のいる美術室へ。そのメロディーが七色になって、私の筆に乗って、素敵な円を描いていく。
(@fluxflat さんのイメージSS)


【朝は来る】
眠れぬ日々の過ごし方を模索している。羊の数は一兆を超えて朝になった。読んだ本は山積みされて朝になった。眠れない日々を綴った話を書いていたら朝になった。
何をしても、朝は来る。明日は来る。だから試しに何もせずに、考えずに夜を過ごしたが、それでも太陽は今日も東から昇る。
(@akihito_fuji さんのイメージSS)


【永遠の17歳】
今年から永遠の17歳宣言した。
「お酒は?」「飲みます」
「仕事は?」「してます」
「好きな漫画は?」「キャプつばかな」
「…17歳じゃないよね?」「宣言したからって、実年齢がそうとは限らないさ。あとこのまま歳が増えると、永遠のハタチ宣言をした母親の歳を超えちゃうんだよね」
(@seruvo さんのイメージSS)


【裏も表も】
綺麗な色も音楽も、それだけ全てじゃありません。反対にある汚れた裏面も、その中間にある側面も、全てが見てこそ表面が綺麗や美しいと認識できるのです。物事を多角的に見ましょう。
以上です。何か質問はありますか?
「あの」
どうぞ
「その服、裏返しじゃ」
裏から見ると、表ですよ。
(@hmoegi さんのイメージSS)


【キラキラ】
キラキラして眩しいのは、朝露の雫。
それが葉っぱの上からこぼれて、水たまりに落ちた時に出来た王冠。
私の前髪を濡らされた時は、少し驚いてしまうけれど、緑の香りつきの爽やかな風がすぐに乾かしてくれるから大丈夫。
濡れた髪に気が付いて、ハンカチを差し出してくれた君も眩しいよ。
(@Gomappp26 さんのイメージSS)


【戦う神父様】
神父様は言いました。深い悲しみが絶えないこの世界を救いましょう。
戦う神父様は言いました。剣と魔法も使って、深い悲しみを断ち切りましょう。
戦い抜いた神父様。慈悲の雨に打たれて叫びます。何度も何度も叫びます。
握った拳を伸ばして、言葉を紡ぎ続けます。今から、これから!
(@ryuka511 さんのイメージSS)


【幸せになってほしい人】
目の前にいたら引っ張ってくれて、後ろにいたら押してくれる。誰かの為に、自分の為に。いつも一生懸命に頑張っているあなたの姿に、心を打たれた。
ボロボロになった冷えた手を温めたい。悲しいよりも、嬉しくて泣く日が増えてほしい。
夢を現実に変えるあなたの力を、信じてください。
(@chiaki_talks さんのイメージSS)
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