LOVE ME DO!

 2月14日はバレンタインデー。
 お年頃の男の子なら誰でも、ドキドキわくわくソワソワする一日だ。
 しかし俺、乾貞治15歳は、生命の危機を感じていた。
 1つ年下の彼氏、海堂薫のおかげで…

「覚悟はいいッスか?」
「ああ…もう辞世の句を読む寸前だよ俺は…」

 シュッ!と鋭い音がして、ダーツの針が付いたパラソルチョコが、右肩の少し上の敷布団に刺さった。

「チッ!」

 ダーツチョコが外れて、海堂はあからさまに舌打ちをする。本気で俺に当てる気だ。
 2本目のパラソルチョコに針を仕込み始めた海堂に、手足をバンダナで縛られ身動きが取れない俺は懇願した。

「もう止めてくれ、海堂!俺が悪かった!俺が義理でも海堂以外の人からチョコを貰ったりしたから」
「よーく、わかってるじゃねぇかッ!」

 大きく振りかぶって投げられた2本目のダーツは、俺の眼鏡の端すれすれに刺さる。
 ヤバイヤバイヤバイ!データによると、次のダーツが俺に刺さる確率は100%だ!

「覚悟しろっ!!」
「うわあああああ!!」

 なんて事が、2時間程前にありまして。

「いてて…」

 痛む腰を押さえながら、俺は布団から起き上がった。なんというか、満身創痍だ。身も心もクタクタに疲れているが、もう外も暗くなってきたし、帰らないと家族に心配をかけてしまう。
 隣では色々ヤッて満足して疲れ果てた海堂が、天使のような寝顔でスヤスヤと眠っていた。感情的になると悪魔みたいにバイオレンスな一面があるが、普段は素直で誠実な良い彼氏だ。俺のことが大好きで大好きで仕方がない事が、よくわかる。

「乾…せんぱい…」

 名前を呼ばれたので起きたのかと思ったが、寝言だったらしく、海堂は目をつむったままだった。夢の中でも俺を独占しているのかと思うと、さすがに苦笑いしか出てこないけど、嫌な気はしない。
 今は苦しいくらい密着していないと満足できないのだろうが、いつかは互いが心地好い距離まで離れるだろう。それまでの蜜月は、今しか体験出来ない。
 まあ、そのくらい俺も海堂の事が好きなわけでして。
 激しいヤキモチも含めて、心の底から「好きにして!」と、俺は思っていたのでした。



【end】

前のHP【mono sex's love】の100000番を踏んでいただいた、宥瀬有羽様に捧げます。
大変遅くなってしまい申し訳ございませんでした。
普段乾海を書いているので、海乾になるとシリアスになりません!残念!
海乾の海堂は、「猟奇的な彼氏」という二つ名が付いていて、乾は優し過ぎるドMが良いです。お似合いのカップルですね!




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