「嫌だ…殺せっ!!」
兼続の声が草叢から響き渡った。
「大きな声を出すな。他の兵に見つかりたいのか」
その声に返ってきた声の主は伊達政宗。政宗は兼続の装束を無理やり脱がせているところであった。
兼続はそれを拒もうと、身体を動かそうとはするが、痛みで上手く動かすことが出来ない。
兼続は政宗と対峙し、そして負けてしまった。ほんの僅か、政宗のが勝っていた。
馬乗りになった政宗に殺せと乞うと、政宗は殺しはしないと言った。
だが、にたりと笑うと貴様を犯すと吐き捨てるように言う。
兼続はそういう行為をしたことがなかった。ましてや、初めての相手が政宗となると、益々その行為は屈辱的なものになる。政宗をあまり快くは思っていなかったからだ。
「もう戦場に立つのは止めよ。負ければ、こうして犯されるのだぞ」
女が戦場に立つのは珍しいことではない。
しかし、その女が戦場で敗北し、悲惨な目に合っているのも現状。
「私は負けぬ…もう…二度と……」
ぐっと唇を噛み堪えるが、溢れてしまった雫は頬を流れ濡らした。
「その威勢は終わった後に言うんじゃな」
政宗は兼続の肌を見た。雪のような色の肌には所々、痣が出来ている。白い肌はその痣をより痛ましく見せた。
政宗がつけたものだ。
己がつけたものだと考えると、身体がぞくりと震えた。
胸を押さえていたサラシを政宗は刀で斬った。弾けるように胸が露わになる。乱暴に掴むと、兼続は堪えるように口を噤んだ。
「ふっ、…ふぅ、っ…」
「なんじゃ、感じておるのか」
政宗の言葉に兼続はカッと顔を赤らめた。
「違う!!」
そう叫ぶも、触られた箇所がじんじんと疼いた。
脚をくねらせた。
それに気付いた政宗は、兼続の下肢の間を触る。そこは政宗の指を濡らした。
脚の間に政宗は己の身体をねじ込ませた。
兼続の身体がびくんっと震える。
熱り立つ物を出すと、政宗は兼続の濡れた場所へとあてがった。
「嫌だ…やだ…」
濡れた眸で下肢を見る。猛った見たこともない物に身体が震えた。
みりみりと押し広げられるような感触があった。中から無理やり引き裂かれるような痛み。
戦場で与えられるような痛みとは違う。
「…っ…、ふっ…」
涙が次から次へと溢れた。余りの痛みに身体の感覚が麻痺した。
政宗の物の熱さすら解らない。
政宗は己の物が入っている箇所を見た。繋がっている其処は血で赤く染まっている。
まるで刀で刺したように赤い。
血と愛液が混ざり、滑りを良くした。政宗は腰を振った。
腰を振られる度に臓器が持ち上げられるような気がし、兼続は吐き気を覚えた。気持ち良い感覚などない。ただ、気持ち悪い。
僅かに触れ合う肌の熱さが気持ち悪かった。
しばらくすると、政宗の身体がぶるっと震えた。
血と共に白濁の液が兼続の身体から溢れる。
「…貴様の子など…孕みたくなどない」
行為はしたことはなかったが、子の作り方くらいは知っていた。
身体に白濁の物が注ぎ込まれ、改めてそういう行為をされているのだと自覚する。
はらはらと流れる涙をそのままに、兼続は政宗を睨みつけた。
やっと感覚が戻り、ずきずきと半身が痛み始める。血と慣れぬ匂いがした。
政宗は僅かにまだ猛る物を引いた。
赤い血と白い液が混ざり合い、兼続の装束を染めた。だが、色は混ざり合うわけではなく、反発し、互いに主張しあう。相容れぬ、赤と白。
「孕むまで犯してやろうか」
脇差しへと手を伸ばそうとしていた兼続の腕を掴むと、手首を噛んだ。
「痛っ…」
口内に血の味が広がると、気持ちが益々興奮してくるのが解った。
また腰を振る。
今度は兼続の口から喘ぎが零れた。喘ぎながら、殺せと繰り返す。
「貴様は本当にわしが嫌いじゃのう」
中を掻き混ぜるように腰を動かせば、ひぅと悲鳴のような声を出しながら兼続は啼いた。
「まさ…むねも…わ…わたしのことが……きらいではないか…」
声を絞り出し、男に嬲られながらも気丈に居る兼続を政宗は
「気付かなかったのか…。わしは兼続を愛しいと思っておったわ」
愛らしいと思った。
言葉の返事を聞かぬよう、政宗は激しく兼続を揺さぶった。
揺れ動く乳房を強く握り締めると、そこに爪を立てた。赤い痕がくっきりと浮かぶ。
兼続が誰を見ているかは知っている。
叶わないものだと、手には入らぬものだとは解っている。
ただ、穢してしまいたかっただけだ。
終
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