エラン・ヴィタール
アーティとラザリスはそこに居た
アーティはラザリスから色んな話を聞いた
ラザリスの世界・ジルディアの事、ルミナシアの本当のディセンダーがラザリスとジルディアを消そうとしている事、全てを聞いた
エラン・ヴィタールはジルディアの一部
アーティは自分で選んでそこに居た
そして、ラザリスに頼んで力を貰った
ラザリスを消しに来るというディセンダーと戦う為に
ラザリスから力を貰えば、ジルディアの住民になれる
ヒトではなくなってしまうが、ラザリスと共に生きられるなら構わない
「…俺も変わったなぁ」
こんなにラザリスに執着するとは思わなかった
最初はそんなつもりはなかった
けれど
ラザリスは普通の女の子と変わらない。特別な能力を持っているが、甘いものを前にした時の表情も雰囲気も、普通の女の子と変わらない
「俺は……」
アーティは声に出さず呟いた
誰にも聞こえなくていい。ただ、それを認めたかった
そうする事で、彼女の力になれるような、そんな気がした
「…来た」
アーティは真っ直ぐ前を見つめる
そこには、ラザリスから聞いていたディセンダーが居た
ディセンダーは何も言わずに近づいてくる
アーティは構える
ラザリスの居る所には、行かせない
そう伝えるように
「……」
ディセンダーは無言で武器を取り出す
そして、アーティに向かって来た
“邪魔をするな”
そんな雰囲気で
「……っ」
アーティとディセンダーの戦いが始まった
******
「はぁっ…はぁ…」
アーティは身体が動かなくなっていた
ラザリスの力が徐々に効いているようだった
「……っ」
右腕にその証が現れる
それは、ヒトとしての身体ではなくなるという事
それでもアーティは、ディセンダーを睨んだ
ここから先へディセンダーを通すつもりは無いから
「………」
「やめろ!」
ディセンダーがアーティに手をかざす
アーティは咄嗟にその手を振り払った
ディセンダーの力で、ラザリスの力を消す事が出来る
それを受け入れたくなかった
「俺はラザリス様と共に生きると決めた。例えこのまま死ぬ事になっても…」
アーティの身体中に、変化が現れ始めた
ヒトとしての意思がある内に、とアーティは身体を引きずりながら、ラザリスの元へ向かった
一瞬だけでいい
(君の役に立ちたかった)