珍しくアスベルはイライラしていた
自分でも理由は分からない。ただ、昼休みからずっとだ


「どうしたの、アスベル。すっごく機嫌悪いみたいだけど」

「…パスカル」


クラスメイトのパスカルが話しかけて来る

周りに分かるくらいに機嫌が悪く見えるのだろうか


「あたしで良ければ相談に乗ってあげるけど?」

「…大した事じゃない」


アスベルの様子にパスカルは閃いたようにアスベルに顔を近付けた


「もしかして、恋してんの?」

「はあ!?」

「そっかそっか。アスベルにも遂に春が来たんだね」


アスベルが何も言っていないのにパスカルは話を勝手に進めていく


「で、相手は誰? メグミ?」

「………」


何故ピンポイントで彼女が出てくるのだろうか

アスベルは深く溜め息をついた


「悪いけど、恋とかそういうのじゃない」

「じゃあ何?」


アスベルはもう一度溜め息をつく

話さなければパスカルに八つ当たりしてしまいそうな気がする。それ以前に、パスカルが自分を解放してくれそうにない


「…分からないんだよ。ただイライラしてるだけ」

「原因は?」

「思い当たる事が無い訳じゃない」


昼休みのアレからじゃないかと思う。詳しくは分からないけれど


「何かあったの?」

「…告白」

「されたの!? 誰に?」


この食い付きようは何だろうか。パスカルの瞳が輝いているように見える

アスベルは若干圧されつつパスカルから視線を反らした


「俺じゃない。昼休みに…メグミが告白されてるのを見たんだ」


昼休みに偶然見てしまった。幼なじみの彼女が呼び出されて告白を受けている場面を

イライラしているのは、それを見てからだ


「ぷっ……あははっ」

「何で笑うんだよ」


突然笑い出したパスカルにアスベルは不服そうに言う

笑うような話ではないはずだ


「あー…、ごめんごめん」


軽く涙目になっているパスカルは謝りつつアスベルに向き直す


「…アスベルはさ、メグミが告白されて嫌だって思ったんでしょ?」

「………」


アスベルは黙る。それが肯定を示している事に気付かずに


「それって嫉妬してるんだよ」

「嫉妬…?」

「そう。つまり、アスベルはメグミに恋してるって事」

「……」


アスベルは少しここ数日の自分の行動を思い返した

確かに彼女を見つけて声をかける事が多かった。自分から誘って一緒に勉強した


「俺が……」


徐々に自覚し始めると顔が熱くなるのを感じた


愛しくなる言葉

好きだったんだ



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