「ねぇ、ミルキィ」
逃げた男を探す為、ミルキィとルーシィ、ハッピーは構内を歩いていた
ルーシィがふと思い出したように口を開いた
「なに?」
「結局、ミルキィの魔法って何なの?」
余程気になっているのか、ルーシィはミルキィをジッと見る
ミルキィはどう説明しようかと考え、口を開いた
「…わたし、魔装者なの」
「まそうしゃ?」
予想通りに首を傾げるルーシィに、ミルキィは笑顔を向けた
「簡単に言えば、魔装具っていう特別な武器で、他の人の魔法が使えるの」
「他の人の魔法…。だからアクエリアスを?」
「うん。エルザやグレイ…ナツの魔法も使えるよ」
ミルキィは更ににっこりと笑う。難しい顔をしているルーシィは、考えるのをやめたらしく、辺りを見回した
「それにしても、あの人は何処に行ったのかしら?」
「エリゴールの所かもしれないってエルザは言ってたけど…この駅って、意外と広いから闇雲に探しても疲れるだけじゃないかな」
「なら、一旦エルザの所に戻ってみない?」
ルーティの言葉に、ハッピーはなんとも言えない驚きの表情をする
「エルザは追えって言ったんだよ」
ハッピーはわざとらしくルーシィに背を向ける
「そっか、スゴいなぁ、ルーシィは…。エルザの頼みを無視するのかぁ。オイラ、エルザにあんな事されるルーシィは見たくないなぁ」
「あ、あたし何されちゃう訳!?」
ハッピーの言葉にマジで怖がっているルーシィは、助けを求めるようにミルキィを見た
「さあ? ルーシィの想像に任せるよ」
「わ…分かったわよ! 探します。見つけるまで探します!」
何を想像したのか、ルーシィの態度は180度変わった
「ルーシィってコロコロ態度変わるよね」
「もう、うるさいなぁ」
ハッピーの頬をつまんだルーシィは、不満そうに言う
「…な、何!?」
突然、爆発のような音が聞こえた
「ナツが暴れてるんじゃないかな?」
「あい。よくある事です」
ルーシィとは違い、冷静なミルキィとハッピー
建造物の破壊は、ナツの得意分野だ
「あっちの方じゃなかった?」
「行ってみよ」
ミルキィ達は音のした方に走って行った
*****
「エリゴールの狙いは定例会なの!?」
ナツ達と合流したミルキィ達は、事情を知ったグレイとエルザから話を聞いた
エリゴールの本当の狙いは、定例会にいるギルドマスター達で、ミルキィ達は魔風壁という魔法で駅に閉じ込められたという事。これを解除出来る筈のカゲヤマという男が仲間に刺され重症で打つ手がなくなってしまった事
「ぎゃあああっ」
魔風壁に触れたナツが勢いよく弾かれた
「やっぱり、これをどうにかしないと出られないって事だね」
「グレイの魔法で凍らせられないの?」
「出来たらとっくにしてる。ミルキィは出来ないか?」
グレイは意識の無いカゲヤマを見る
ミルキィがカゲヤマの解除[ディスペル]を使えれば、この魔風壁を消せる
しかし
「無理だよ。特殊な魔法は“貰えない”もん」
ミルキィの魔装具で扱える魔法には、制限がある
全ての魔法を扱える訳ではない
「あーー!!」
ハッピーの叫び声が聞こえた
ハッピーは1つの鍵をルーシィに出した
それは星霊・バルゴの鍵
バルゴは地面に潜れるらしく、ルーシィは早速呼び出す
「お呼びでしょうか、ご主人様?」
現れたバルゴに、ルーシィはとりあえず状況説明をし、潜って道を作るように頼んだ
そうして、ミルキィ達は魔風壁の外へ出る事が出来た