「はぁっ…はぁっ…」
港まであと500メートルを切ったところで、シエルはとてつもない疲労感に襲われていた
「(もう少し…なのに…)」
魔力が切れそうなのだ
4人を包む風が弱くなって来ているのが分かる
「ちょっとぉ〜、落ちたりしないよね?」
アニスが心配そうにシエルを見るが、シエルはそれどころではない
港まで、あと100メートル
「……っ!」
風が途切れた
4人は落下する。アニスはイオンを庇うように手を伸ばす。ジェイドは相変わらず表情が変わらない
「お願い…」
シエルは思い切り息を吸った
地面まで、あと数十メートル
「行っけぇ!」
地面に激突する瞬間、再び風が巻き起こった。そして、4人を港に停泊していたタルタロスの甲板へと運んだ
「はぁっ……」
シエルはそのまま、甲板へと倒れ込んだ