フィオーレ王国のとある森の中
シエルは頼まれた薬草を摘み終えていた
「これくらいあれば、暫くは大丈夫ね」
馴染みの薬屋に頼まれた薬草をシエルは満足そうに見つめた
あとはこの薬草を届ければこの仕事は終わりだ
正式な依頼ではない為、報酬はお金ではなく食べ物なのだが
「早く帰って、チーズケーキ食べたいな」
シエルは籠を持ち上げ帰ろうとした、その瞬間
「……っ」
シエルの身体が揺れた
身体というより大地が揺れている
「じ…しん…」
シエルの脳裏に、一瞬“あの光景”が蘇る
「…やっ……」
シエルはその場に座り込んでしまった
地震は止むことなく、更に続く
地面が少しずつ割れる事にシエルは気がつかなかった
「…っ、きぁあ!」
気が付いた時にはもう遅かった
シエルの身体は地割れに吸い込まれてしまった