再び彼を探し始めて暫くした頃、煙とサイレンの音が響いた


「…王都軍に何かあったのかな?」


煙が上がっているのはレグヌム王都軍の野営地の方だった

カイは両兵士に見つからないように茂みに入り、煙の方へ走った


「…リカルド」


カイが見つけたのは、ガラムが雇っている傭兵の1人で、カイと同じガラム出身の男─リカルドだった

リカルドは自前のライフルを構えたまま、目線だけカイに向けた


「ウェリマか、こんな所で何をしている?」

「何だって良いでしょ」


カイはリカルドの視線の先を同じように見た

リカルドは王都兵を何の躊躇いもなく打つ


「あいつら、さっきの…」


指揮官らしい人物の元へ先程会った少年達がいた


「知り合いか?」

「そんな訳ない」

「そうか」


リカルドは返事をしながらも王都兵を撃つ

カイはその様子を見つめていた


「リカルドの銃弾を剣で受け止めるなんて…」


リカルドの銃弾を青年は剣で弾く
そしてカイ達の方へ走って来た


「見つかったんじゃない?」

「そうだな」


青年はリカルドに向かって剣を振った
リカルドは茂みから出て行った

カイは木の影からそれを見つめた

自分が出て行く必要は無いだろう

リカルドは3人と戦いになる
リカルドはライフルだが、前衛でも戦えるように改造している

しかし、いくら強いと言っても1対3
戦場である事も加えると何が起きるか分からない

カイは草むらから飛び出すと丁度リカルドから距離を取った青年の首筋に槍を突き付けた


「動くな」

「……っ」


青年は動きを止め、視線だけをカイに向けた


「お前さっきの!?」

「…ウェリマ、何をしている」


驚いた青年とリカルドの言葉が重なった

カイはゆっくりと青年から槍を離した


「別に。ただ、人数的に不利だから、アタシも加勢しようかと思って」

「…不利、か。確かに…憶えのある太刀筋だが」


リカルドは少年を見た。少女と青年はリカルドを見る


「…こいつ、ヒュプノスか!? ルカ、憶えてるか?」


リカルドの前世に気付いた青年はルカと呼んだ少年に言った


「あの、その……」

「……アスラか」

「知り合い?」


リカルドの反応にカイは首を傾げた

リカルドをヒュプノスと呼び、ルカをアスラと呼ぶ

カイはその名前を何処かで聞いた事があった


「あ、あの。僕…、ここと同じような戦場であなたと戦って、あなたを倒して…その……」

「ウザ…」


おどおどと話すルカにカイは感じた事を口にした

こういうタイプは、はっきり言って嫌いだ


「俺は俺の仕事をするだけだ」


リカルドはライフルを構え直した

ルカがリカルドの言う仕事が何なのか尋ねる


「野営地奇襲の目的は、糧食の焼き討ち、そして正規軍指揮官の暗殺…。戦場からガキや女を追い散らすのは契約に入っていない。だから邪魔立てするな」

「待って待って!!」


少女は慌ててリカルドに静止の声を掛けた

少女は説得を続けるが、リカルドは興味が無いと一言告げた

カイは自分が場違いな気がして、そこから立ち去ろうとした

その瞬間


「…などと、緊迫した雰囲気など気にせずに、登場するオレ」


聞き覚えのある男の声が聞こえた


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