イリアが触れた光の渦は、前世の記憶だった

センサスの将軍・アスラが、天上統一を果たした時のもの


「あれが…デュランダル…」


カイがポツリと呟く。その横でルカ達が話をしている


「みんな見てたワケ? リカルド、あんたは?」

「見えた。不思議だな、俺はそこにいなかったのに」


先程の記憶では、アスラ・デュランダル・イナンナ・ヴリトラ・サクヤ・オリフィエルが登場した

リカルドの前世であるヒュプノスは、登場していない


「じゃ、カイ。あんたは?」

「…見えた」

「そういや、カイの前世って誰なんだ?」

「別に、誰だって良いでしょ」


カイはスパーダの質問をはぐらかすと、皆から離れた

前世の記憶に興味は無い。カイの目的は彼なのだから


「キノコを見つけたぞ、しかし」


コーダが隅で見つけたらしいキノコを掲げる
話に夢中なルカ達は気付いていない

恐らく、エルマーナが探して欲しいと言っていたキノコなのだろう


「味見していいか?」

「アタシに聞かないで」


カイが答えると、コーダは躊躇いなくキノコをかじった


「ああー! なんやの、このクソネズミはぁ!」


エルマーナが駆け寄って来るとカイを見上げた


「何で止めてくれへんかったん?」

「…それが目的のキノコだと思わなかった」


嘘なのだが、そう答える。エルマーナは膝を付き、コーダに手を出した


「とりあえず、全部食べたらアカンで?」

「一口しか食べていない。こんなマズいのは、いらん。あげるぞ、しかし」


コーダは一口かじったキノコをエルマーナに渡した

コーダの一口が大きいのだろうか。キノコのカサの3分の1が無くなっている


「…ま、こんだけあったら充分やろ」


エルマーナはそう呟くとキノコを袋に入れた


「じゃあ、戻ろうか」


キノコが見つかった為、王都へ戻る事になった


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