ルーク達がバンエルティア号に来て、正式なギルド『アドリビトム』となった。古代語で“自由”という意味らしい


「厄介な相手だね」


フィオは自室で先程聞いた話を思い返した

ルーク達の船を襲ったのはナディというテロ団体らしい
親善大使のルークを狙っての行動だとジェイドは言っていた


「マナ消費を訴えるのはいいけどさ」

「そうだね」


フィオとモルモはマナを大量消費していたあの街を思い出した
街は豊かだったが、大地は痩せていた。その影響は世界樹にも及ぶ

フィオとモルモはそれを知っているから、グランマニエが心配だった


「見た感じでは、まだ世界樹が弱ってる訳では無さそうだよね」

「でもディセンダーが生み出されてる。何か原因があるんだよ」


フィオとモルモがマナと世界樹とディセンダーについて考え込んでいると、扉がノックされた音が聞こえた


「はい?」


フィオがドアを開けると、ルークとティア、ガイがいた
その後ろには黒髪の少女─アニスも


「この前は悪かったな」

「何の事?」


ガイが軽く頭を下げた
フィオは意味が分からずに首を傾げた


「アメールの洞窟での事だよ。ガイがいきなり斬りかかったじゃん」


ルークが補足してくれた為に、理解出来た

ずっと謝罪したかったが、船に来てからバタバタしていた為に、今になってしまったらしい


「もういいよ。誰も怪我しなかったし」

「ああ、ありがとう」

「ちょっと〜、アニスちゃんの紹介は無しなワケ?」


3人の間に流れていた空気を壊すようにアニスが入って来た


「誰?」

「私はアニス・タトリン。よろしくね、フィオ」

「ああ、よろしく」


アニスはフィオの手を握り上下に振った
フィオは少し苦笑いで返した


「それじゃ、私達はそろそろ行くわ」

「仕事なの?」


いそいそと帰ろうとするティアに、フィオの影からモルモは尋ねた


「ああ。俺とティアでナパージュの調査に」

「ナパージュ?」


聞いた事の無い名前に、フィオは再び首を傾げた
アニスは手を離し少しだけ距離を取った


「マナじゃないエネルギーを使ってるから、そのエネルギー…ラルヴァを2人が調べに行くんだって」


アニスが説明をする

ティアとガイはルークを頼む、と残して仕事へ行った
ルークはどういう意味だよ、と剥れていた


「ねぇねぇ。これからサンゴの森にサンゴを採りに行かない? 人数多い方がいっぱい採れるし」

「アニス、お前まさか…」

「さあ、どうだろうね〜」


アニスの言葉にルークが思わず反応した
フィオはそんな2人を見て笑った


「いいよ。でも、3人で大丈夫?」

「うん、多分ね。んじゃ、用意して待ってるね」


ルークとアニスは部屋へと戻って行った

フィオはドアを閉めると、アニスが言った言葉を思い出した


「…マナじゃないエネルギー、か」

「どうしたの、フィオ?」

「ううん、何でもない。モルモはどうする? 一緒に行く?」


フィオは誤魔化しながら、モルモに尋ねた


「楽しそうだから一緒に行くよ」


フィオが出掛ける準備を始めるとモルモも手伝ってくれた
早めに準備が終わった為、ルークとアニスが待っているであろう機関室へ行った



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -