「あれが、太陽の門…」


大きな岩がアーチ状になっている、太陽の門

辿り着いて見上げれば、それは想像以上に大きい


「まるで空へ続いていくみたいだネ」

「うむ。実に雄大なものだな…」


それぞれに感想を呟く。アニーは言葉が出ないようだ


「早くアンテナ置こうヨ!」

「そうだね」


フィオは預かって来た(無理矢理持たされた)A・アンテナを太陽の門の下に持って行った


「む…?」

「どうしたんですか?」


ユージーンが何かに気付く。フィオ達はユージーンの視線の先を見た


「何あれ!?」

「魔物…?」


真っ黒な魔物のようなモノが、そこに居た


「臭気の正体はあれか。どうやら歓迎されているらしいな」

「出迎えゴクローさま、だネ」


魔物─リターナーとシャドウガイストは、フィオ達に向かって来る


「アンテナ設置はこいつらを始末してからだ。行くぞ!」


ユージーンが槍を構え、走る
フィオはマオとアニーが詠唱を始めたのを確認し、ユージーンの後を追った

リターナーとシャドウガイストも詠唱をしている。フィオとユージーンは、それぞれ止めた


「ドラッグ・レーベン!」

「ブレイジングハーツ!」


アニーとマオの術が発動する


「魔皇刃!」


フィオがトドメを刺し、リターナーとシャドウガイストは、姿を消した


「フィオさん、今の内に」

「あ、うん」


フィオはハロルドに言われた通りにアンテナを設置する

これだけで良いのだろうか


「ハァ…。あいつら、何だったのかな?」

「……」

「ユージーン?」

「気を抜くな。まだ来るぞ!」


ユージーンが再び現れた魔物のような影に気が付いた


「もう…、苦しいのはイヤだ。憎むのは…苦しい…。怒りに…蝕まれる…。助けて…」


魔物のような影は、苦しんでいる様子で、近付いてくる


「奴等は、負か…」

「負の塊って事ですか?」


負の塊であるなら、彼らを浄化出来るのは、グラニデのディセンダーであるエリーだけ

フィオには出来ない


「…助けて…ディセンダー。光を…、光をください」


影はフィオに訴える
フィオは両手を見つめた


「還りたい…。もう…、こんな思いは…持っていたくない…。助けて…」


フィオは無意識に手を伸ばした

そこから、光が溢れる。ギルガリムを消し去る時のような光。けれどそれとは違う、暖かな光

影は完全に姿を消した


「消えた…」


フィオは両手を見つめた

何故、エリーのようにこの世界の負を浄化する事が出来たのだろうか

フィオには、負が姿を持った事よりも、それが気になっていた



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