「ここがメスカル山脈かぁ」
エコー・フラワーの種をトライライト・モスに植えた“シード・ベッド”をメスカル山脈の“笛岩”に設置する為に、エリー・ティア・ルーク・リッド・ファラ・キールが来ていた
人数が多いとチャットに言ったのだが、ファラが決めたからと半ば諦めて頼まれた
「“笛岩”って頂上の方か?」
「ええ。頂上の方向とは少し違うけれど」
ティアが“笛岩”の場所を知っている為、案内を任されたのだった
リッドの言葉に頷いたティアだったが、説明しにくいのか、それ以上は言わなかった
「さっさと行こう。ぼくは早く船に戻りたいんだ」
「キール、少しは協調性持てよ」
「リッドに言われたくない」
リッドとキールが軽い口喧嘩を始めた
珍しくファラがそれを止めに入り、何とか収まった
ティアが3人を促し山を登る事になった
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「風が強くなってきたわ。前に進むのも困難なくらい。この辺りで風を避けて休みましょう」
1時間程歩いた所で、ティアが立ち止まりそう言った
「たかが風じゃないか。先を急ぐんだろう?」
「この風の中進むってのか?」
キールが進もうとするが風が強い。ルークは反論した
「キール、山の風を甘く見てはだめよ。体温を奪われたら、立っていられなくなるわ」
「ここはティアの言う通り、少し休憩しようよ」
エリーがティアに便乗してキールを説得する
そこにファラも加わり、少し休憩する事になった
「なあ、ティア。“笛岩”ってどんな場所なんだ?」
ルークはティアに聞いた。エリーも簡単に話は聞いていたが、どんな場所か知りたかった
「そうね…山を駆け巡る風が長い年月をかけて岩を侵食して、丁度笛のように鳴っているところよ」
ティアの説明に全員が感心する。キールだけは本で読んでいたのか、その通りだと頷いていた
「少し風が止んできたみたい」
「これなら行けるんじゃねぇか?」
「そうね、行きましょう」
風が緩んで来たのを確認すると、エリー達は再び歩き出した