次に行う事である“人の真似事をする花の種、三色に光る苔にて苗をあしらう。その苗は風唄う地に置く事”

それに必要な三色に光る苔─トライライト・モスを手に入れる為、フィオとモルモははフィリアとウッドロウに連れられてサンゴの森に来ていた

たまたま居合わせたユーリとエステルも一緒に行く事になった


「トライライト・モスって、どの辺にあるの?」


フィオの頭の上に乗っているモルモは、フィリアに尋ねた


「この森のかなり奥に生息しているんです」

「今年は泡吹きサンゴが異常繁殖したと聞いているが…」


フィリアの言葉にウッドロウが聞き返す


「泡吹きサンゴ?」

「“その輝きは淡く青白く、古くから鑑賞に用いられる事が多い。また硬度が高く、岩盤を壊すより難しい”です」


フィオが首を傾げるとエステルが説明をする

ユーリもモルモもよく分かっていない表情をしている


「泡吹きサンゴは貴重な種であるから破壊するのはしのびないが、今はなりふり構っている場合ではないからね」


ウッドロウはあまり意味の分かっていないフィオ達に言った


「なあ、アレの事か?」


ユーリは目の前にある、壁のようなサンゴを指差した

先程エステルが説明したように、淡く青白く光っている


「………?」


フィオは気配を感じて辺りを見回した


「どうしました、フィオ?」

「あ…ううん。何でもない」


不思議に思ったエステルがフィオに尋ねる

フィオは首を横に振って誤魔化した


「何か悩み事があったら、言ってくださいね?」

「ありがとう、エステル」


エステルの笑顔に、少しだけ気が紛れた

フィオとエステルが話をしている間に、フィリアが泡吹きサンゴに何かを投げつけた

そして、泡吹きサンゴから白い煙が上がった


「これで泡吹きサンゴは崩壊を……」


フィリアは途中で言葉を止めた

煙が止むと、泡吹きサンゴは無くなり先に進めると思っていたのだから


「何だ、これは」


泡吹きサンゴの代わりに、聳え立つモノが居た


「どうして…ギルガリムが此処に居るんだよ!!」


モルモが叫んだ

フィオは何度も会っているし、先程も気配を感じた

モルモは居る事を知らなかった為に、かなり驚いている


「ギルガリム…? こいつの名前だろうか?」


ウッドロウがモルモに説明を求めるが、モルモは取り乱していてそれどころではない

フィオはゆっくりとギルガリムに近付いた


「フィオ…?」


ユーリが名前を呼ぶも、フィオは返事をせずにギルガリムの前に立った


「フィオ…まさか消すつもりなの!? ここはテレジアじゃないんだぞ!」


モルモが叫ぶ

ギルガリムを消すのは、フィオにしか出来ない
それが分かっているから、フィオは両手をかざした


「………」


目を閉じて力を使う

テレジアでは無い為、力の使い方が少し違う
けれど、それももう慣れてしまった


「……っ」


ギルガリムが消えるとフィオは疲労感に襲われたが、何とか倒れずに耐えた


「フィオ…」


モルモが心配そうに近付く
フィオは笑って誤魔化した


「…これで先に進めるよ」


フィオは説明を求める目で見るフィリア達に、わざとそう言った


フィオの考え通りに誰も何も言わずに歩き出した

モルモも聞きたい気持ちを押さえつつ、フィオの肩に乗った





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